毎年、彼岸の時期になると鎌倉野菜が栽培されている野菜畑に沿って流れる細い水路脇の土手にヒガンバナの群落が出現する。
自転車で海辺に出る時などはこの水路に沿った細い道を選ぶことが多い。
春になればあれこれ野の花が咲き、ノビルを採取してくることもある。
夏は雑草が伸び放題に伸びて何のとりえもない場所になってしまうが、夏も終わりに近づくと土地の所有者がきれいに刈り取ってさっぱりした後に伸びてくるのがヒガンバナなのである。
ところが今年はどうしたわけか、ジュズダマなどの大ぶりの雑草が伸び放題にのさばって水路を覆い隠してしまっても一向に草刈りされる気配がないままヒガンバナの咲く季節を迎えてしまった。
ヒガンバナの方は多分いつもの年と変わらずに芽を出し、伸びようとしたはずである。
しかし、周囲を屋根のように覆うジュズダマの葉に光を遮られ、芽を出した大半は光合成を妨げられたまま成長できずに終わってしまったのではないか。
土手と舗装された小路の間のわずかのスペースに顔を出したヒガンバナだけが、かろうじて成長して花を咲かせているのが救いと言えば救いだが、毎年楽しみにしている身にしてみれば何ともがっかりさせられる光景ではある。
この水路はザリガニが棲み付いているところで、夏休みにでもなれば親に連れられた幼稚園児や外遊び好きの小学生たちが夢中になってザリガニ捕りに興じる場所なのだが、何せ大型の雑草が水の流れを覆い隠してしまっていてはいくら元気印の少年たちもお手上げで、今年はザリガニ捕りの姿を見ることはなかった。
いろいろ異変が続いた夏だけれど、まさか水路が隠されてしまってザリガニ捕りが締め出しを食うとは…小学生たちも、さぞやがっかりしていることだろうと同情したくなる。
彼らにとって野遊びは学校の勉強と同じくらい大切な学びの場だからねぇ。
今年は学校での勉強も制限され、野遊びもまた同様じゃ、気の毒過ぎるってものだ。
コロナのせいで2月を最後に坐禅会が中止されたままの円覚寺にも足が遠のいたままだ。
あの寺の境内のあちこちにもヒガンバナはさりげなく咲いている。県道を挟んだ東慶寺の庭もまた野の花がたくさん咲く。
そして浄智寺の茅葺屋根の書院と庭の風情もまた格別である。
ヒガンバナを見がてらボチボチ出かけてくるとするか。
見出し写真と同じ場所の去年同月のヒガンバナ
円覚寺のヒガンバナ(昨年9月)
東慶寺(昨年9月)
東慶寺(昨年9月)