平方録

ニッポンから「恥」が消えてしまった

神戸製鋼所――製品検査データ改ざん
日産自動車――無資格者による完成車検査
東芝――不正会計
商工組合中央金庫――国の制度融資での統計捏造

神鋼も日産も東芝も言わずと知れた日本のモノづくりの代表選手である。
商工中金はそのモノづくりを資金面から支える立場である。
それがそろいもそろって「不正」を重ねて世の中に製品を送り続けていたのだというから開いた口がふさがらぬ。

責任者が出てきて泣きそうな顔をしながら頭は下げているが、あるまじき行為をしでかしてしまった侍が全責任を一身に浴びて「かくなる上は腹掻っ捌いてお詫び申し上げる」と今にも皺腹をむき出しにするような鬼気迫る態度はどこにも見られない。
泣きそうにしている素顔のすぐ裏っ側では、「なんで俺が社長の時にこんな問題が明るみに出ちゃうんだよ」というボヤキであり、「なんて運の悪い人間なんだ、俺は」という自分自身の身に降りかかった不幸について悲嘆に暮れているに過ぎないのだ。

だからロクな説明も明確な経過説明も出来ず、社業をきちんと把握できていないから、次から次へと不祥事は日を追って次々と明るみに出てくるのだ。
その度に悲しそうな顔をして頭は下げるが内実は同じことである。
あの手の連中にかかると不正な品をつかまされて本当に悲しくて泣きたい気持ちになっているのが売りつけられた側なのだ、という重い現実には全く思いが至らないんである。

新聞の片隅に危機管理の専門家のような人が感想を語っていたぞ。
曰く「こういう不祥事が起こると責任者は問題の根っこは企業風土にあるかもと口をそろえるが、違和感がある。責任の所在を企業風土にひとくくりにしてしてしまうと経営者も従業員も同等の責任を負うということであり、肝心の経営者の側の責任がぼやけ霞んでしまう」と。
ズバリお見通しなのだ。

すべては組織を率いてきた私の目が節穴で不正を見過ごしてきてしまったのが主たる原因で、全責任は経営トップたる我れにあるのだ――という重い言葉は誰の口からも聞こえてこない。
それが現実なのだ。

いつからこんな無責任でだらしのない人間ばかりの国になってしまったのか。
子供のころから少しくらい勉強ができたからと言って、エリートともてはやされ、ちやほやされてぬくぬくと過ごしてきた連中には「恥」という概念がないのだ。
想像すらしたことはないだろう。
人前で下げたこともない頭を下げさせられている以上の恥ずべき行為が背後にのしかかっていて、今、満天下にその恥をさらしてしまっているのだという現実すら自分自身には見えないんである。自覚も理解もできるわけがない。

同じことは国民の疑問に十分な説明をしないまま訳の分からない理由でもって手前勝手に衆議院を解散してしまったアノ男にも言えることである。
日本のリーダー役を担ってきた男にして「恥」というものを知らない。身に付けていないのだ。
恥を知らないのだから、なんだってへっちゃらでやれてしまうのだ。
何をかいわんやではないか。



由比ガ浜の西の端の坂ノ下あたりでは台風に備えて漁船がズラ~ッと歩道に引き上げられていた


2階のベランダのプランターではウインターコスモスが真っ盛りだが、台風の強風が心配である


ひっかきまわされる前に切り花にして玄関に飾る


秋バラのノリコも家の中に避難させた
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「随筆」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事