鎌倉秋の寺巡りその7は山ノ内の東慶寺。
臨済宗円覚寺派の禅寺で、大本山の円覚寺と横須賀線と県道を挟んで向き合っている。
寺を開いたのは2度の元寇を撃退した時の執権・北条時宗の夫人の覚山志道尼で、時宗が開いた円覚寺とは切っても切れない関係にある。
禅を世界に広めるきっかけを作った円覚寺の釈宗演とその釈宗演に背中を押されて実際に欧米でZenの紹介に努めた鈴木大拙がそろって眠るゆかりの寺であり、何より女性の地位が今と比べて問題にならなかった時代、女性自らこの寺に駆け込めば意に沿わない夫との暮らしと縁を切ることができた。
この「駆け込み寺」の役割は何と明治維新まで600年間の長きに渡って機能し続けたというから日本の歴史上でも特筆ものだと思う。
ただ、女性が逃げ込んで助けてもらえる場所がここしかなかったということもまた事実ではあるけれど…
地味な印象の寺で、観光客が殺到する寺でないところが気にいっているし、季節ごとに野の花が咲き乱れる庭が広がっていて、そこが特にいい。
墓地に続く大きな崖一面に咲き乱れるイワタバコの群落は見事だし、本堂裏の参拝客の近づけない崖一面にもイワガラミという珍しい花が咲き、6~7月の一時期になると特別に公開されてもきた。
そんなわけで、円覚寺で日曜坐禅会が開かれるたびに、ちょくちょく足を運んだものだった。
寺の奥の墓地には文人墨客をはじめ、各界で活躍した人々が眠る静かな寺である。
夫の暴力や迫害から逃れてこの階段の前に立った往時の女性たちの胸中を思う
コロナ禍でしばらくは拝観休止になっていたが、再開されると拝観料を取らなくなっていた 代わりに「必ず本堂を参拝し、気持ちを賽銭箱に」と いいね♪
そして本堂をかこっていた塀が撤去され、これまで拝観できなかった本堂にも自由に上がることができるように変わっていたのにはびっくりした
先ず迎えてくれたのが白いフジバカマ
こちらはノギクの仲間だろう
こちらも小さい花のキク
リンドウ
枯野を見せるような寺はまずない そこが素晴らしい ♪
どこから見たって枯野でしょ ♪
トリカブト
海辺の花のイソギク
花びらが筒状になったキク
こちらは白いノギク
ギンナンがたくさん落ちていた
ジュウガツザクラ
軟らかい晩秋の日差しを浴びて…
コロナ以前は本堂は塀に囲まれていて、隙間からしか見えなかったのに…
本堂にも上がることができ、ご本尊の釈迦如来を拝むことが可能になった
この写真は恐れ多いので建物の外からズームで撮ったものだが、像を含めて全体が得も言われぬ柔らかな印象で、ちょっと引き込まれてしまった
多分これからファンになると思う ♪
うっそうとした木立に囲まれた墓地を散策する観光客も少なくない
目に入ったところでは「古寺巡礼」を書いた和辻哲郎の墓
静かでどことなくひなびた佇まい
左手の建物が本堂 ここはウメの名所でもある
鐘楼の足元にもフジバカマ
山門越しに見えている山が開山覚山志道尼の夫、北条時宗が眠る円覚寺一帯の山