平方録

わが家の食卓

ここ1週間余り、旅行中を含めて移動はもっぱら電車と車だったので運動不足もここに極まれりの感がある。
おかげで、痛めていた右ひざの回復は思わしくなく、むしろ悪化しているのではと思えるほどである。
それに加えて何やら右くるぶしの辺りから先が腫れぼったい。むくんでいるのだ。靴が履きずらくて困る。
はて、どうしたことかと思っていたら、これはもう運動不足からくるむくみだろうと直感し、医者に行くより前に動かしてくるしかあるまいという結論に達した。

幸なことに昼前からぐんぐん青空が広がったものだから、自転車で湘南海岸を走ってきた。
有酸素運動に自転車はもってこいだし、足の筋肉を使うのだからむくみなどは吹っ飛ぶはずである。
自転車を漕ぐ分には膝の痛みは気にならない。
サイクリング道路のそこかしこにうず高く積っていた砂の山もすっかり除去されていて、金曜日だから人出も少なく快適である。
青空の下を広々とした海を眺めながらペダルを漕ぐのは、何と言っても気持ちがいいのだ。
あっという間に湘南大橋を渡り、25キロ離れた大磯漁港に着いてしまった。

別に目標地点ではなかったのだが、既に午後1時をちょっと回っている。
腹ごしらえが必要である。
おあつらえ向きに、漁港の一角に魚を食べさせる食堂があるのだ。
ここは平塚漁港の食堂と違って、古くて先輩格なのだが、供仕方が素朴というかデリカシーがないというか、魚一匹丸ごと出てきたり、ドカンドカンと大雑把なのである。たぶん若い人には受けないはずで、1時間待ちがざらな平塚と比べて空いている。

といっても1時を過ぎていたのでメニューは売り切れが多く選択肢が限られていたが、サバの煮つけとイワシの素揚げ、刺し身の定食というのがあり、サバの煮つけなんぞは滅多に口にしないので、珍しい選択をしてみた。
何と出てきた煮つけは丸ごと1匹で、頭と尻尾は切り落とされているものの、皿にデーンと横たわっていて、食べきるのに往生した。
正直、半身で十分なくらいである。
個人的な感想だが、煮つけよりも焼いた方が食べやすいんじゃぁあるまいか。
焼いた方が脂が残っていて食べやすいんだと思う。煮つけはどうしてもパサパサ感が付きまとうのだ。

イワシの素揚げは食堂のすぐ目の前の岸壁で釣り糸を垂らしている連中が釣りあげていた10センチ前後の小イワシとまったく同じシロモノだった。
開店前か後に従業員で釣っているのかもしれない。
刺身はヒラマサか何かだろうが、よく分からなかった。
これで1200円だからいい値段である。それにしても、ちょっと高い気がする。

家の夕飯がキンメダイの煮つけだった。これに三浦半島の空豆とトウモロコシをゆでたもの、そして土鍋で炊いた山形米のツヤ姫。
それに判で押したように1本500円以下の“薬代わり”の赤ワイン。
煮つけという点ではダブってしまったが、わが家の煮つけには生ワカメとゴボウが入っていて、食堂よりよっぽど上品で美味しい。トウモロコシは走りで空豆は旬。どちらも地元の食材だから文句のつけようもなく新鮮で美味しい。
こういうのが贅沢な食事なのである。

足はどうだったのか?
やっぱり見立て通り、たっぷりと血液を流通させてきたおかげか、心持まだ残っている部分もあるが、概ね足先のむくみは消えている。
膝の痛みとの関連は完全に払しょくできたわけではないが、動かすことで一定の成果は出たと見るべきだろう。
ジジイになったみたいで、厄介なことである。




わが家近くの山裾の道端の崖に咲いていたヤマユリ。一輪は花びらもメシベもオシベも虫に食われていたが、自生なのかどうか。あでやかなヤマユリが咲いているのを見るのはうれしいものである。道端で出会うとハッとするような美しさなのだ。この近くでは去年だか一昨年、タカサゴユリがたくさん咲いていたが花が終わらないうちに無残に切られてしまって、それ以降見かけない。このヤマユリは来年も咲くと良いのだが、運命やいかに
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