平方録

おぉマリリン こんなところでお会いするなんて…

タバコをやめて20年になるので気に掛けてこなかったと言ってよいだろう。

喫茶店やバーに入れば当たり前のように置かれていたマッチが今どうなっているのかなんてことは考えてもみなかった。
それが昨晩ぶらりと立ち寄った横浜・野毛のバーのソファーの脇の小さなテーブルの上の小さなかごに「どうぞお使いください」というように積まれているのを見かけた時は思わず「おおっ‼ 」と声が漏れかけた。
新鮮な衝撃だったと言ってよいかもしれない。
マッチと言うもがそれだけ身近なものではなくなってしまっている証拠である。

おまけにマッチの小箱に描かれた図柄は頬杖を突いて物憂げに視線を落とすあのマリリン・モンローなのである!
愛しのマリリン。あこがれのモンロー。

おぉ、ここは場末のバーですぜ。こんなむさくるしいところでお会いするなんて…

それにしたってもっと愛くるしい表情やセクシーな表情がいくらでもあるのに、なんだってこんな気だるそうなマリリンなんだ。
この後、頬杖をついたままフゥ~ッとため息をついたマリリンは右手を伸ばして画面には写っていないウイスキーを注いだグラスを手に取り、しばらくもてあそんだ末にそれを一口クィッと飲みこんでまたため息をつくのである。
きっとそうに決まっている!

マリリンの晴れない心はボクの心なのだ。
物憂げな心、それもボクの心なのである。
若いころ、ボクはいつだってマリリンと一緒にいたのだ。一緒にいたから気持ちがよく分かるのだ。
ジジイになった今でもあのころの気持ちは変わらない。
何時だってマリリン・モンローはマリリン・モンローなのだ。ボクのマリリン・モンローなんである。

マッチ箱の反対側の図柄はギターを抱えたエルヴィス・プレスリーだ。
髪の毛をきっちりリーゼントで固め、モンローとは対照的に明るくにっこりと微笑んでいる。
まるで太陽の輝きそのものじゃないの。

何なんだよ、この彼我の差は。
たかがマッチ箱ひとつ…



頬杖のモンロー


明るく輝くプレスリー





わが家のバラもまっ盛りを過ぎつつあるようだ
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