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平方録

通行止め

立春を過ぎて暖かい日が続く中で、さすがにこれで終わりじゃあるまいと思っていた矢先、昨日は久しぶりに凍えるような寒さが戻った。
これじゃウグイスの初音は聞けそうにないし、温室状になった陽の当たる窓辺で本でも読んで過ごそうかとも思ったが、ひょっとするとこのキリキリした寒さもこれが最後かもしれないと思い直し、冬将軍への餞別の意味合いを兼ねて自転車で風を巻き起こしながら走ってきた。

春一番もすでに吹き、それに準ずる南寄りの強い風が幾日も吹き荒れた後なので堆砂の山が出来ているだろうから、どこまで走れるか半信半疑だったが、感心なことに湘南海岸自転車道を管理する県の出先機関は除砂作業をこまめにやったらしく、行く手を阻む堆砂の山はどこにもなかった。
それはそれで実に良かったのだが、堆砂とは別に行く手を阻む伏兵というか強敵が現れて、目的地にしていた相模川河口まであと2kmという地点で道路にバリケード(見出し写真)が築かれて道が塞がれてしまっていた。

打ち寄せる波の力で自転車道の足元の地盤が洗われ、コースが崩落寸前の状態になっている!
夏が近づくとこの辺りの砂浜はハマヒルガオの群落が現れるところで、花の中に寝そべってしばし浮世を忘れるという、とっておきの場所の一つでもある。復旧には相当の時間がかかりそうで、これから暖かくなるにつれて走行距離を伸ばしていくうえでもここを通れないとなると国道134号に出て迂回しなければならず、ヤレヤレな気分である。

思えばこの自転車道も満足に走りとおせることが少なくなってきている。
一昨年秋から去年夏にかけては茅ケ崎の中海岸付近で、やはりこの場所と同じように自転車道の路盤が波に洗われて自転車道そのものが崩落してしまい、1年近く通行止めが続いた。
自転車道ではないが、よく走る鎌倉の由比ガ浜から腰越にかけての国道134号も稲村ケ崎と七里ヶ浜の数か所で、路盤が波による浸食を受けて陥没したりで何度も片側交互通行や歩道部分の通行止めが起きている。
さすがに大動脈の国道の修復作業は素早いが、車道が狭まったり、走りにくいことこの上ない状態が頻発している。
現に今でも稲村ケ崎と七里ヶ浜では工事の真っ最中である。

原因は台風の大型化に伴う高波によって浸食被害が際立っているというのだが、それも確かにあるのだろうが、それ以前にもう何十年か続いている砂浜後退によって砂浜そのものがやせ細ってきていて、ちょっとした波でも直接路盤まで届いてしまい、被害を大きくしているのだとボクは睨んでいる。
海に流れ込む大きな川の流域で進められるダム建設や三面張りなどと言う不必要なくらいコンクリートで川を固めてしまうお陰で、海への土砂供給が途絶えてしまっているのが大きいと思う。

今から30数年前、ボクが良く出かけて寝転んでいた七里ヶ浜の砂浜に至っては20~30mは後退してしまっているのではないか。
国道134号の七里ヶ浜駐車場を使ったことがある人ならわかると思うが、駐車場から浜に下りる階段を満潮時に下りても、当時は砂浜があって歩いて行けたが、今となっては満潮にならなくとも波が駐車場のコンクリート壁を洗うありさまである。

こうして自然破壊は我々の目の前にはっきり見える形で姿を現しつつ、ボクたちはだれも止めることも出来ず、頭の片隅では心配しつつも指をくわえたまま進行を許してしまっているのである。
世界からヒンシュクを買っている時代錯誤の差別発言ジジイに引導の一つも渡せないような政権じゃ、まして大自然には太刀打ちなんかできっこあるまい。
輸入するワクチンの到着の取材は控えて欲しいとマスコミに向けてのたもうた担当大臣さんよ、輸入するワクチンとテロとの関係ってきちんと説明してくれませんかねぇ。
国民をナメるんじゃないよ! 
どいつもこいつも、豆腐の角に頭をぶつけてよくよく考えて見ろってんだ。


こんなものがぶら下がっていた

既に数年前に波の浸食を受けて崩壊し、土留めの大型砂袋を大量に並べて元に戻したはずが、再び波に洗われて当時の土留めの砂袋が姿を現してしまっている

この土留めが露出してしまった奥に、近づくことはできなかったが、さらにえぐられている部分があって、波が奥まで届いている様子が分かる
(遠景は箱根の山なみ)

こちらは現在復旧工事が進む鎌倉七里ヶ浜。ボクが良く寝そべりに来ていたころは、こんなやせ細って哀れな砂浜ではなく、たっぷりと盛り上がった広々とした砂浜が広がっていたのに…(このすぐ脇を国道134号が走っている)


この写真は2020年4月のもので、七里ヶ浜の手前の稲村ケ崎。ここでは国道134号の路盤そのものが波に洗われ、一部で路面が下方にたわんでしまっているところが写っている。
現在は歩道部分が崩落してしまいその復旧工事が延々と進められている。
通常だとこういうケースでは海側にテトラポッドを並べて波を打ち消すようなことをするが、それではせっかくの景観が台無しになると地元が反対するし、当局も素直に従うしかないので、崩落―復旧工事―崩落―復旧工事が繰り返されることになる。


こちらは去年夏にようやく復旧工事が完成間近となった湘南海岸自転車道の茅ケ崎中海岸付近

上掲写真のすぐ隣でも自転車道の路盤がえぐられ、半年以上、通行止めが続いた

ここからは昨日の景色
久しぶりに冬の寒さが戻り、空気も冷えて透き通り、富士山もかくのごとくクリアカットに姿を見せてくれた

青と白…たった2色の世界…

富士山の南斜面の雪が解けかけているように見える
いくら太陽の当たる南斜面だからと言って、厳冬の2月の富士山の雪が解け出するなんてことがあり得るんだろうか…
雪が解ける原因が何かほかのところにあるんじゃないか…

心配した堆砂はなく、スムーズに走ることができた。寒いから人も少なかったので余計スイスイ走れた ♪

年に何度も見られない海の色合いだった ♪
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