平方録

渡し舟がカギ握る日本経済

16151歩。

昨日の歩数である。江の島の南側、岩屋の前の岩場までテクテク歩き、江ノ電の駅まで戻って隣町で買い物をして帰ってきたのだ。
目的は3つ。
初音を聞くこと、急階段を下りた岩場の手前にある茶店でイカ焼きで一杯やりながら海を眺めること、孫の若が2歳になるので誕生カードを作るため具材を買いそろえること――の3つである。

風がないので日差しが暖かく、歩いていると汗ばむくらい。
超極暖という今年初めて手に入れた下着を身に付け、お気に入りのインバーアランのカーディガンを引っ掛けて出かけたものだから、暖かいことこの上ないのだ。
カーディガンの前のボタンをはずして風を入れながら歩いてちょうどよい。

途中、自宅近くの樹木のうっそうとした自然公園を抜け、広町緑地と呼ばれる広大な緑地の山すそに沿って歩いて行ったのだが、やはり初音は聞こえてこなかった。
江の島で生まれ育ったという茶店の亭主に聞いたら、江の島の島内でウグイスが鳴き始めるのは3月下旬から4月初めころだと言う。いくら何でもそれでは遅すぎるだろうと思うのだが、第一、海上に浮かぶ島は陸地よりも暖かいはずである。
そんなわけで、昨日もまたお預けを食らってしまった。

江の島に渡る弁天橋を歩いていくと、富士山が気のせいか霞んで見えるのだ。春霞だと胸を張って言うほどの霞み方ではないが、真冬の空気感とは明らかに異なっている。
海だって〝鏡のような〟というわけではないが、時々かすかなうねりが見て取れるほどに、のたりのたりとしているのである。
風がないせいかもしれないが、前を歩く高校生のグループの中には半そでの子もいる。平日なのにといぶかったが、多分県内一斉の公立高校の入学試験の日に当たっていて授業がないのだろうと思えば得心がいく。

そういえばボクにだってウン十年前には「15の春」があったのだ。
合格発表を見届けてうれしくて、掲示板の前で一緒になった中学の友人と電車で20分ぐらいかかる道のりを歩いて帰ってきたことを、昨日のことのように覚えている。
あれから幾星霜……。今や妻から「あら、随分白髪が増えたわね」と言われる年頃である。
まさに 少年易老学難成
    一寸光陰不可軽
    未覚池塘春草夢
    階前梧葉已秋風 なのである。

江の島の裏側の岩場に降りて茶店で昼飯代わりのコップ酒を舐めた後、体育館の床のように広々とした岩場に飛び移ろうとして、ちょっと若者ぶったらバランスを崩してつんのめってしまったあたりはご愛敬だが、多分これは酒のせいである。
海中にまでつんのめらなくてヤレヤレであった。海水浴にはまだちょっと早すぎるもんね。

茶店の亭主に「波もなくて静かなのに渡し舟は休みですか」と聞いたら、「お客が少ないと休んじゃうんですよ」という。
せめて2杯はと思っていたが、またあの急階段を上って帰るんじゃぁやめておこうかと1杯で切り上げた。
茶店の売り上げにも響いているのである。経済が縮むわけである。
なんとかミクスとかいう胡散臭い経済政策なんぞは論外として、江の島の渡し舟が怠けることによる影響というのも無視できないのである。

アベなんちゃらにはチンプンカンプンだろうけど、どうよ?クロダくん!



あわや相模湾に逆さ富士が出現!というくらい静かな海面=江の島の北西側の道路から


ひねもすのたりのたり…… なんとなく春霞がかかったような……


江の島の南側の岩場の海は澄み切っている


昼ご飯の代わりのイカ串焼きとサザエ串焼き(いずれも350円)とカップ酒


左端が江の島。この場所から弁天橋の中ほどまでは5600歩だった
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