再挑戦と改めて身構えるほどのことでもないが、鶴岡八幡宮境内の鎌倉国宝館で開かれている「北斎と肉筆浮世絵」展を見がてら、ぶらぶらと5キロほどの道のりを歩いて行った。
前日とは打って変わったキリリとした寒さに包まれた日だったが、東京辺りでは強い北風が吹き荒れたそうだが、こちらでは風もほとんどなかったのが幸いである。
瑞泉寺のウメはイマイチだったが、途中の傾斜地で梅林になっているところのウメが満開で、それらが真っ青な空に映えているさまがとても美しく、うっとりと眺めてきた。
これをそっくり瑞泉寺に移したらいかばかりかと、余計なことを考えたが、ウメそのものの持つ特性なのか、今年のウメはずいぶんと咲き方にばらつきがあるように感じられてならない。
途中の家々の庭のウメにしても、旺盛に花を咲かせている木と、寂しいくらいにしか花がついていない木があって、その差はどこから来るのかしらんと首をかしげるほどである。
目指したのは年がら年中人観光客でごった返している小町通から一本路地を入ったところの、写真入りの派手なメニューが所狭しと並ぶ飲食店が集まった建物の2階にある生パスタの店。
12席しかない狭い店だが、地元では評判の店である。
妻は一度来たことがあるらしいが、満員だったり休みだったりしてボクにとっては未知の店である。
注文したのは、これが看板料理ですとばかりに、メニュー表の一番最初に掲げられている一品で、写真も撮っていないし、名前も忘れちゃったけれど、コラーゲンがたっぷり入ったなんとかカントカというミートソースの親せきのようなパスタ。
確かにおいしく、「へぇ~」と思ったのだが、それも半分くらいまで。
一人前を食べ終えるころには飽きてきて、最後は腹にもたれてしまった。
まぁ、ちょっとのどがガラガラしていて風邪の引きはじめみたいなところがあり、体調が万全ではないのかもしれないが、また食べに来たいという感じではなかったのが残念である。
当然だけれども料理と体調との関係は密接に絡み合っているのである。
このところいつも眠くてしょうがないし、のどはいがらっぽいし、注意しないといけないのかもしれない。
もうひとつは若いころと違って、脂っこさや乳製品の脂肪分がうっとおしくなってきていることとも無関係ではないだろう。
浮世絵展の方は国宝館が所蔵する氏家コレクションを展示したものだが、例年この時期に開催しているもので、展示作品も目新しいものはなかった。
馴染みのものに改めて再会してきたというところである。それぞれの展示作品が置かれている場所も、記憶の中にある以前のものと変わっていないようであった。
国宝館には12の部屋があって、1月には浮世絵の並ぶ部屋が開くのだと思えばいいのだ。
見る側とすれば、そうして毎月違った部屋に移動していくつもりでいればいいのである。
「酔余美人図」という縦26・5センチ横32・3センチの小品が展示されている。
漆黒の長持に上半身をもたれかけ、足を投げ出して酔いを醒ましている女性を描いた葛飾北斎の作品である。
ほんのりと酔いが差した頬やちょっと苦しそうな息遣い、酒のにおいの混じった吐息さえ匂ってくるような、実につややかな作品で、身にまとっている着物の柄や色調をとっても一つ一つが上品に仕上がっていて、まるで絵の中に吸い込まれて行ってしまうような魅力を宿したな肉筆画である。
これも去年と同じ位置に展示されていた。
この女性に会いに行くだけでも価値はあるのだ。
名も知れぬ梅林に咲く満開のウメが真っ青な空に映える
鎌倉国宝館で開催中の「北斎と肉筆浮世絵」展のポスターと「酔余美人図」
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