曇っていたが天気予報では午後になると晴れ間がのぞくという予報である。
いつものように湘南海岸自転車道を西に18キロ進むと相模川河口に出る。
ここから引き返せば往復36キロということになるが、何か物足りず、さらに西に向かおうと考えていた。
小田原の酒匂川の河口辺りまで行って戻ってこようと思ったのだ。そうすれば70キロくらいは走ることになる。
しかし、ここまでの間、南西の風が進行方向左45度の方角から吹きつけていて、おまけに空を見回しても一向に晴れ間がのぞく気配がない。
湿った空気の向かい風を受け続けていると体が冷えてくるほどなのだ。
そんなこんなで西行きは中止して相模川の堤防を遡ることにした。
湘南銀河大橋を過ぎ、寒川取水堰、神川橋も超えてずんずん堤防上の舗装路を行く。車が通らないから気が楽で、これで青空なら気分もひとしおなのだろうが相変わらずどんよりと雲が垂れこめたままである。
新幹線が川を渡るところまできて進路を東に向ける。
ボクの道路選択基準はまず第1が車が通らないこと、それが無理ならせめて交通量の少ない道路、それも無理で交通量が多い道路なら歩道を走れる道路――という順である。
交通量が多い上に狭い道路なんてのは、絶対に走らない。
そんな道路は恐ろしい上に走っていても楽しくないのだ。だからたとえ遠回りになろうが上り坂になろうが条件に合致した道を、断固として選ぶのだ。
それがポリシー。
結局、途中でどこを走っているのか分からなくなった。
太陽が出ていないので影が出来ないから自分が向かっている方向が北なのか東なのか、時々分からなくなるのだ。
付近に建っている住宅の向きとか咲いている花がどっちを向いて咲いているとか、小さな川に出くわせばその川の水がどっちに向かって流れているか――などなど、少しでも方角の手掛かりになるようなものを見つけて進路を定めるってのも楽しいものである。
本当は地図も無いような未知・未開の地を行くようなことが理想だが、都会に住んでいてそんなことがかなうわけがないので、せめて知らない道をたどることで気を紛らわそうというのだ。
結局新幹線の線路を離れて間もなく、交通量の多い道を避けてジグザグ進んだせいか自分の居場所が分からなくなり、1度だけスマホで自分の位置を確かめたら漠然と向かおうとしていた茅ケ崎市北部の田園地帯の目と鼻の先まで近づいていたのだった。
わが方向感覚はまだ衰えてはいないことが証明されたわけだが、太陽が出ていさえすればもっと簡単にそれが可能となるのだ。
自分の位置を見失いかけたがゆるくカーブする坂道を下って行ったら目の前に田んぼが広がっていた!
茅ケ崎市北部のこの一帯では今が田植の真っ盛り
田んぼに水が流れ込んでいく光景がとても好ましいもののように感じられる
田んぼの脇の鮮やかな色彩に目が止まる
そのわきでは高く伸びたシュロの木に巻き付いたノウゼンカズラがもうたくさんの花を咲かせ
さらにその隣では真夏の花のヒマワリが明るく誇らしげに咲いている。ノウゼンカズラといいヒマワリといい、季節感覚は大丈夫なんだろうな
するとヒマワリの奥でピンク色の物体が動いた
お腹を大きく膨らませたブタがオリに入れられフォークリフトでどこかに運ばれて行く。出産させるための場所への移動だろうか。この辺りは有名な「高座ブタ」の産地なのである
この辺りの田園地帯には神社や寺があちこちに点在している。ここは浄土宗来迎寺
畑と畑の間にはこんな花畑も
さらに進むと県立茅ケ崎里山公園を望むところでタチアオイを見つけた。この花はポピュラーな花だと思うが不思議なことに我が家周辺では見かけたことがない
足元にはこんな花も。ネジバナや濃いピンクの小さな花をたくさんつけた植物も一緒に咲いていたが、そちらの写真は失敗した
一山超えると今度は境川に沿った藤沢市北部の田園地帯に出る。そこの田んぼ脇に真っ赤なタチアオイが咲き、コスモスも咲いている
よく見ると青色のヤグルマソウまで咲いていて、この一角では春と夏と秋が同時進行なのには驚かされる
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