「名無し」から「セント・オブ・ヨコハマ」というしゃれた名前をもらったばかりの鉢植えが水滴で重たくなった頭を前後左右に振り回させられて花びらを奪われ、クタクタになっている。
元々枝の華奢な「空蝉」は揺すられるのに慣れているのか、花びらを散らすほどでもないが、それもいつまでもつことやら。
ハナニアラシノタトエモアルゾ サヨナラダケガ人生ダ
という訳詩を残したのは井伏鱒二だが、これまでは嵐にさらされる「花」はサクラに決まってるじゃんと思ってきたが、そう言やぁバラだって雨風に決して強い訳じゃァないのだ。
メイストームって言葉があるのは知っていたが……
バラにとっては秋バラの時期にやって来る台風の方がよっぽど大変で、こいつに襲われると花が散るどころか枝ごとぽっきり折られたり、場合によっては株ごとなぎ倒されることだってあるくらいだから、台風の接近を前にするとその対策に大わらわになるのだ。
それに比べれば…などと侮るつもりはないが、ダメージが少ないうちに去ってもらいたいものである。
それにしても美しいものや目立つものにはどうしてこうも風当たりが強いんだろうね。
憲法を無視し続け人の道を踏み外すような天をも畏れぬアベなんちゃらへの風当たりもようやく強まってきたが、それまでのやりたい放題にはほとんど無風だったことを思うと、天の配剤というものも気まぐれなんじゃないかとチラッと考えたりするのである。
あいつが吹き飛んで息の音が止まるというのであれば、ボクのバラの一枝二枝は喜んで進呈しよう。
そして嵐が過ぎ去るまで雨風の音を聞きながら三者三様の詩を並べて人生を考えることにしよう。
まずは井伏鱒二
コノサカズキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
訳詩の元になった于武陵の「勧酒」
勧君金屈巵 (金屈巵=把手の付いた黄金の大型の杯)
満酌不須辞 (不須辞=辞退する必要はない)
花発多風雨
人生足別離 (足=多い)
そして寺山修司
さよならだけが人生ならば また来る春は何だろう
はるかなる地の果てに咲いている 野の百合は何だろう
さよならだけが人生ならば めぐり会う日は何だろう
やさしいやさしい夕焼けと ふたりの愛は何だろう
さよならだけが人生ならば 建てた我が家は何だろう
さみしいさみしい平原に ともす灯りは何だろう
さよならだけが人生ならば
人生なんか いりません。
横浜イングリッシュガーデン その3
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「ベティー・ブープ」
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「ウイスキー・マック」
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「花菜・ローズ」
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板塀に這わせたつるバラはよく咲き出している
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こちらも板塀の「つる エンジェル・フェイス」
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「キャプリス・ドゥ・メイアン」
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ボクの庭にも3株あって大好きな「ブラッシング・アイスバーグ」。まだ咲き始めたばかり
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「禅」!
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雨に打たれ強風にあおられ……。咲いている姿を乱し、花びらを散らすわが家の「セント・オブ・ヨコハマ」
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元々柔らかい枝先に咲いた花はぐったりと頭を垂れ……。大事にしているわが家の「空蝉」