日本全国で関東地方にだけ降っていた、しかも丸1日降り続けた雨は朝になってようやく上がることは上がったが、予報は曇り。
しかも北風が吹き抜けて11月下旬の寒さだという。
雲が高くて空が少しでも明るければまだしも、低く垂れこめた雲は分厚いらしく、朝から薄暗いこと。
ソーラーエネルギーを動力源にしているボクにとってこういう日はハナハダ苦手。全く意気が上がらない。
それでも午後になると雲間から時々薄日が漏れるようになり、次第に雲の切れ間が広がる気配を見せていた。
天気予報は来週の水曜日まで太陽マークを隠してしまっている。
それで、せめて散歩がてらにと10数分歩いたところにある市役所支所に併設されている図書室まで本を探しに行った。
しかし、目指す本は書棚に見当たらず、調べてもらったら貸し出し中だという。
たまにしか足を運ばないものだからかロクなことにはならない。
支所までの道すがら、雲の切れ目は一層広がっていて西や北には雲のかけらもなくなっていた。
目的の本がないなら散歩した方がまし。
図書室を出ると久しぶりの陽光が暖かくて気持ちがいい。
2,3日海を見ていないから海でも見たいなぁ、でも歩くとなるとちょっと距離があるなぁ。バスって言う手もあるけど…
支所から70mほどのところにバス停がある。
そこにちょうど信号待ちのバスが止まっている。でも行き先表示を見ると海にはいかない。
時刻表を見ると10分前に通過してしまっていた。
あきらめてバス停を離れようとすると、もう1台バスがすぐ後ろに止まっている。
半信半疑で行き先表示板を見ると「江ノ島」!
10分遅れのバスがたった今到着したところだった 。
用があろうがなかろうが、こういうケースでは何も考えず即座に飛び乗るのがボクの流儀なのだ ♪
バスは橋を渡り、江ノ島島内まで行くのだが、橋の手前で降りてぶらぶら歩くことにした
雲の様子が何となく落ち着かないが、陸地から吹いてくる風のためか波は静かだ
橋の上から西を見ると期待していなかった富士山が箱根連山と丹沢山塊を従えて薄く見えている
あの今にも泣き出しそうだった空模様からは想像もつかなかったが富士山まで見通せるほどに晴れ上がるとは…
元来、秋の景色はもっとメリハリが効いているはずだが…
秋には似つかわしくない淡くてはかなげな空気感が漂う
いつものように自転車ではないので島内の山坂を上り下りすることにした
江ノ島神社の参道を外れ、崖際の裏道を行くとこういう景色が待ってくれている (見出し写真も裏道から見た光景)
アップダウンを経てこの茶店に入ったのはそれなりの理由があってのことである
奈落の底に下りていくような急階段は波打ち際の岩棚まで、ここから数百段続いている 降りるのは楽でも登りを考えると…
登ってくる若い連中の息も絶え絶えな様子をみて「今日は止めておこう」という気になった
橋の袂から岩棚まで渡し船があるのだが、朝から天気が悪い時は運休してしまうのだ 帰りに船で戻れるなら降りてもいい
この茶店のテラスは崖の上に突き出ていて見晴らしは抜群である
ここに座って日向ぼっこをしながら日本酒1合とサザエのつぼ焼きを注文した
視線の先は黒潮が流れる太平洋 右端にチラッと見えているのが伊豆半島
西を見れば箱根連山と富士山がお行儀よく並んでいる
窓のない吹きさらしの席だが、ここは太陽が出ていさえすれば冬でも暖かい
昨日は暑くて上着を脱いだくらい
急階段を降りて岩棚に下りるとボクより20歳も年上と思しき老夫婦がまさにカイロウドウケツの如く仲良く並んで店番をしている小さな茶店があって、ここでカップ酒とイカ焼きなどを肴に世間話などをしてくるのも楽しいのだが、渡し船が動いている時の方がいいに決まっている また今度な
橋の袂からバスに乗るため、来た道とは違って参道を戻る途中で前を行くカップルが目に留まった
年の頃なら二十歳前後。手をつないでいかにも楽しそうに会話しながら行く姿に微笑ましさを感じたのだが、階段を上がり切ったところで一瞬姿が消えたと思ったら、ボクが階段を上がり切って前の2人を見るといつの間にか肩を組みあって歩いていく
背丈がほとんど同じなので苦も無く肩が組めるのだろうが、若いデート中の男女がお互いの肩に手を回して組みながら歩く姿がとても新鮮に映った
手をつないでいる時以上に楽しそうで、スキップでも始めそうなくらい足取りが軽く、とても健全 !しかも健康的に見えた
ああいう屈託のないさまを見ると、心底「あぁ、いいなぁ」「うらやましいなぁ」と思う
ニッポンを頼んだよ!
こっちはもう「階前の梧葉已に秋声」…だもんなぁ