2日に境内の源平池の脇を通り抜ける際に遠くからではあるが、会釈だけはしておいたのだが、この日が初詣ということになった。
驚いたのは松が明けた8日だというのに、正午少し前の境内はごった返していて、賽銭箱の並んだ本殿前にはガードマンが大勢いて「立ち止まらないでください」「あっちが空いています、広がってお参りしてください」などと声をからしている。
もっとも、三が日の初もうでに比べれば本殿前にたどり着くのに長時間待たされることもなく、お参りを済ませた後も押し寄せる人波を押し分けかき分けしてその場から離れるというような必要もなかった。
しかし、お守りを買う段になってまたまた「何じゃこれは!」という思いに襲われる。
本殿を出たところにある売り場の前には大勢の人々がたかっていて一瞬ぎょっとさせられた。
何だよ、今日は行列が無くて幸いだと思っていたのに、お守りを買うのに行列かい、といささか呆れるが、よく見ると人だかりはちゃんと行列になっていて、列の先頭では巫女さんが破魔矢を手渡したり現金を数えたりしている。
とりあえず秩序は保たれていたのがせめてもの救いである。
仕方ないのでボクも列の最後尾を探して後ろに付き、じっと待ちましたよ。15分か20分。
三が日はお守り売り場が増設されるからこんな景色を見ることも無いのだろう。
とはいえ、正月8日の神社でお守り買うのにじっと行列するなんて、何といじらしい国民であることよ。
アベなんちゃらとその一派が扱いやすさにほくそ笑むはずである。
何かにハッとしたり、純粋にびっくりするような体験をした日というのは不思議にひとつでは済まず、また何かに驚いたりエッと思わされたりすることが多い。
そういうものを感じる感性が鋭敏になる日というものがあるのかもしれない。
鈍感でいるよりは、何かに「へぇ~」とか「ほぉ~」とか感じていた方が変化や刺激があってよろしい。
ボォ~ッと生きていたのでは楽しくもなんともないのだ。
で、八幡宮を出て段葛を歩いていると、いつもは十重二十重に行列が取り巻いている蕎麦屋の前に誰も人がいない!
一瞬、休みかと思ったら、のれんがぶら下がっているので営業中らしい。
ちょうど正午を過ぎたばかりの時刻で、お屠蘇でも飲みたいなぁと思い、この時間に飲むなら蕎麦屋だなぁと考えていた矢先のことだったので意を決して覗いてみることにした。
半信半疑でガラス戸を引いて中に入ると元気の良いおばちゃんの声で「いらっしゃぁ~い、こちらにどぉ~ぞぉ~」。
もちろん先客がそこそこいることはいたが、店内は空席も目立つ。こういうこともあるのだ。
冷の樽酒というのがあってそれを注文し、蕎麦みそを舐めながらちびちびやっているとモリ蕎麦が出来上がる。
こいつを手繰りながら途中で樽酒も口に含むと、これはもうなんですなぁ~、盆と正月がいっぺんにやってきたようなものかしらんという気分になり、よくぞ日本に生まれけりと思うばかりである。
まぁ、蕎麦は山形に限るのだが、久しぶりに口にしたこの店の更科系の蕎麦もそこそこに香りがあり、歯ごたえもしっかりしていて少し見直した。
もっとも樽酒の力を借りているからその辺は割り引いた方がよさそうである。
代金を払う時、女将と思しき女性に「行列がないんで驚いた。いつもは入れなくて素通りしてたんだけど…」というと「昨日からやっと空き始めました。土日以外はこんなものです」と言っていた。
振り返ってみれば、この店が出来た直後は時々ここで食べた記憶がある。今から20年ほど前だが、実にそれ以来ということになる。
思いがけずにタイムスリップした気分である。
松も明けた平日の午前中だというのに鶴岡八幡宮にはゾロゾロと人の波が続く
本殿脇のお守りの売り場。三が日だってこんな人垣は出来ないのに…
樽酒の冷と一緒に盆と正月をやって来ました♪
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