今朝もヒグラシのセミ時雨で始まった。
寄せては返す波のように、合唱の音量を高くしたり低くしたりを繰り返しながら夜が明けたことを周囲に告げている。
それにしても大した数だと思う。
一斉に地中から這い出て羽化したんだろうが、誰かが号令をかけるわけでなし、暗い地中で何を頼りに「その時」を知るんだろうか。
初めて鳴き声を聞いた昨日は、日が傾きかけたころにも早速2度目のお勤めがあった。
ベランダに椅子を出して缶ビールを飲みながら涼んでいると、近くの山からカナカナカナカナ…という透き通るような涼し気な鳴き声が伝わってきた。
早朝のセミ時雨は一日のスタートを切るにあたって「今日もいい天気だ♪」と告げてくれているような、「サァ、今日も元気に行こう♪」と背中を押してくれるような、さわやかなものだが、夕方のそれは少し趣を異にする。
日本人好みの「もののあわれ」感満載の、聴きようによってはいささか哀愁を帯びたような、もの悲しさの漂う鳴き声にも聞こえるのだが、それがまた心にしみる。
セミ時雨が続く時間はせいぜい20分か30分くらいだろうと思う。
一斉に鳴いていたものがぴたりと止んでしまうと、辺りは静寂に包まれ、やがて木々の間に差しかけていた日差しも届かなくなり、周囲からは色が失われて行く。
たかがセミの鳴き声なのだが、不思議なセミが居たものだと、毎年つくづく思う。
気象庁は南関東の梅雨明けを認めないが、明けたんだと思う♪
ルドベキア ヘンリーアイラーズ
朝日を浴びて…