見出し画像

平方録

胸を揺する…泣けとばかりに

「題名のない音楽会」で石川さゆりの「津軽海峡冬景色」とビバルディの「四季」を合体させたものをオーケストラで演奏するという試みをやっていた。

新聞のテレビ欄にこのことが書かれていて「ふぅ~ん、面白そうなことをやるんだなぁ」と思ったが、両方の楽曲とも好きなボクはなるほどな、案外いけるかもなと思ったものだ。
その時点で思いついた共通項は「胸を揺する」。
「風の音が胸を揺する」という表現がそのまんま歌詞になってもいる「…冬景色」と「四季」の「冬」には「胸を揺する」という点において共通点があるなぁと思ったのだ。

演奏が始まって耳を澄ましていると、なるほど違和感なく二つがうまく合わさって、ボクの胸も確かに揺さぶられてしまった。
他にも2組のコラボが紹介され演奏されたが、「ふぅ~ん」とは思ったが、どちらも胸を揺さぶられることはなかった。
やっぱり胸を揺さぶられるような楽曲同士じゃなけりゃインパクトがないってことのようだ。

冬の時期になるとコタツのシミになることが増える。
その時に音楽を聴く機会が増えるのだが、その際に「四季」というのは魅力的なテーマで、好んで聴くことになる。
名前こそ「四季」ではないけれど、ベートーベンの交響曲第6番「田園」やバイオリンソナタの「春」なんてのも大好きで、もう擦り切れるくらい聞いている。
そして「四季」ではハイドンのオラトリオ「四季」が絶品で、とても美しい旋律が随所に現れる。
嵐が去った後の情景とか、春の訪れを想像させる場面の曲の転がりとか…何とも言えない安らぎを感じさせてくれる。
その辺りは「田園」などにも共通していると思う。

そんなことを思っていて、ふと青森県弘前市のJR弘前駅前にある「山家」という居酒屋で聞いた津軽三味線のライブ演奏を思い出してしまった。
津軽三味線のライブ演奏を聞きながら酒の飲める居酒屋で、一度、友人に連れて行ってもらって以来、忘れ難い場所になってしまった。
再訪は果たせていないのだが、コロナ禍での足かせを思うにつけ、聞きに行きたい気持ちが募る。
友人に聞くと3、4年前に閉店してしまったと言っていたが、「市内にはライブをやっている店は他にもあるはずだ」と言っていたから探して、ぜひ訪ねてみたい。
季節はやっぱり凍える冬がいいと思う。

あの津軽三味線の旋律と音色こそ「…冬景色」や「四季」に似て、というか本家本元の元祖中の元祖なのかもしれないが、「胸を揺する」ことにおいて勝るとも劣らないのではないか。
魂の叫び…なんて軽々しく言うのも気恥ずかしいが、そんなニュアンスが含まれているように思う。
今すぐにでも飛んでいきたいくらいだ。
かじかんでしまっている心と体を解きほぐしてもらいたいと、切に思う。


(見出し写真はわが家の夏ミカン まだ木が小さいので16個しか実が生っていないが熟すころが楽しみ ♪ )

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「随筆」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事