11月2日と3日の2日間である。
2日に宿泊することになったのはまだ現役で働いているご仁がいるからで、それに合わせるとなると休日か限りなく休日近くを利用しなければならないのである。
本来、隠居の身だけの集まりなら平日を選べば交通機関も宿も何もかもが空いているはずだが、世の中というものはなかなか都合よくは運ばないものなのだ。
従って休日に一気に7部屋を押さえると言うことになると、ある程度の規模を持ったところを選ぶしかなく、何やかやと制約は付きまとうものである。
ましてや秋の観光シーズンたけなわの11月3日辺りは3連休だから混みあって当然なのだ。
三浦半島の東京湾を見下ろす小高い丘の上に建てられた眺望抜群の温泉付き宿泊施設を押さえたのだが、交通の便が良いうえに宿泊料金が安くてしかも料理がおいしいという評判が立っているものだから早くから予約が殺到していて、なかなか難儀したが、かろうじて休日前の宿泊を確保できたという次第なのだ。
3日の日も7部屋の確保はかろうじて可能だったが、今度は13人で誰にも邪魔されずに食事できるスペースが塞がってしまっているというのだ。
せっかく久しぶりに会うのだから食事をしながら近況報告もあるだろうし、積もる話を交わしたいではないか。ゆえにそういう部屋を確保するために休日前という、いささかへそ曲がりの設定になったという訳なのだ。
毎回奥さんを連れて集まるのだから本来は偶数の14人にならなければ計算が合わないが、1人だけ亭主単独での参加という薄情者がいるのだ。
奥さんが体調を崩しているとかで、それでも単独で参加するのはここ6、7年こうした集まりに顔を見せなかったものだから「1人でも出かけて行って皆に会いたい」と言うことのようである。
ちょっと電話で話したが、現役時代と変わらぬ独特の皮肉の混じった物事の捉え方や、それを語る口調は相変わらず滑らかで、彼の名を冠した「〇〇節」は健在だった。
皆の前でこの間の無沙汰をどのような〇〇節で語るのか、今から楽しみではある。
酒盛りが済んだ翌日には横須賀にでも行って米軍と海上自衛隊の艦船群が浮かぶ横須賀港内の軍港めぐりクルーズとやらの遊覧船に乗ろうと画策したが、もうすでに予約で満杯なんだという。
最近人気が出ていて、予約しなければとても乗れないだろうというアドバイスを受けたから、押っ取り刀で予約電話を入れてみたらこのありさまである。
1時間と少々の乗船で1400円もするんだぜ。
泊まっている軍艦をただ見るだけだぜ。
遠くから見るだけなら横須賀線の車内からだって、横須賀駅前から広がる港に面したベルニー公園からだって見えるんである。
遊覧船に乗ればより間近に見えるところがミソなんだろうけど、何だよ、軍艦てのは兵器の一種だぜ。そもそも人殺しのための道具じゃないの。
そんな物騒なものを好んで見に行くんですかね。怖いもの見たさ? それなら分からないわけではない。
ひょっとすると予約希望者の中身は案外中国人が多く混じってるんじゃないのかしらん。
敵艦隊見ゆ! な~んちゃってさ。…冗談ですヨ。
ともあれ、あの遊覧船が込み合ってる限りは平和だってことだから、喜ぶべきことなんである。
で、遊覧船から締め出されたわれら一行はそのまま横須賀線で北鎌倉に直行し、円覚寺やら東慶寺やらを巡り、ミシュラン一つ星の精進料理を食べるとても平和でのどかな1日を送ることにしたんである。
何とジジババ向きであることよ。折しも円覚寺は年に1度の「風入れ」の日で、普段は非公開の舎利殿をはじめ貴重な文化遺産の数々が展示公開されるんである。
横須賀の軍港巡りクルーズは予約しなければ乗れないほどの大人気なんだそうだ
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