「あれっ熊さん、顔がニヤついてるよ、どうしたのさ、何かいいことでもあったのかい ?」
「おう八っあん。見たかい、国会中継」
「うんにゃ。衆議院予算委員会の質疑の事だったら生憎ヤボ用があってさ、見ちゃいないよ」
「そうか、そいつはもってぇねぇことしたねぇ」
「何だよ、そんなに面白れぇことやってたのかい ?」
「おうよ八っあん、なんてったってガースが首相になって初めて1対1での論戦に臨んだんだから、こいつは見逃せねぇ~よ」
「で、どうだったんだい ?」
「結論から言うとな、例の日本学術会議の任命拒否問題を突っ込まれてしどろもどろよ。野党の3人が集中的に攻めたのさ。もともと官房長官の時から記者会見で説明不足や木で鼻をくくるような答え方をしてヒンシュクを買ってたんだがな、全国に生中継されている予算委の答弁があそこまでしどろもどろになるってのは驚いたぜ」
「ふ~ん、そんなにひどかったのかい」
「ひでぇなんてもんじゃないぜ。答弁に立つ時もさ、手を上げて委員長に許可を求めてから答えるだろ、その時の手の上げ方が如何にもおどおどした感じでさ、しかもオイラには目が宙をさまよってるように見えたね。おまけにさ、見かねた官房長官が答弁に割って入って助け舟出したり、秘書官がペーパーをしきりに差し出すと今度はそれを棒読みしたりしてさ。それも正面から答えていりゃぁいくらかは許せるが、例の『人事の件は説明しない』ってあの類をさ、壊れたテープレコーダーのように繰り返すもんだから審議はしばしば中断しちまってな、ヒデェもんだったぜ」
「強面、強権のガースも形無しってわけだな」
「オイラもさ、あそこまでヒデェとは思わなかったよ」
「そうかい。以前から国会答弁については不安視されてたからなぁ。これからどうするつもりだろう」
「アベなんちゃらの時のように国会開かなくしちゃうんじゃないか」
「まさか。議会制民主主義の国だぜ日本は」
「分かるもんか。それはそうとな、八っあん、ガースは長くねぇ~んじゃないのかい。あんなシドロモドロやってると国民に見放されちまうぜ。携帯料金の値下げだってソフトバンクとKDDI の発表した新料金プランだと、元々安いブランドの値下げだけでお茶濁そうって魂胆が透けて見えるじゃねぇ~の。そんな程度で携帯料金値下げさせましたって胸張られてもシラケるだけだぜ」
「熊さん、オイラも携帯料金は気になってるけどさ、そんな程度じゃなぁ、ガッカリしちまうぜ」
「だろう。携帯電話以外にも地球温暖化への取り組みとして突如、2050年までにCO2の排出をゼロにするって宣言したろ? 」
「あれはイイことなんじゃないのかい熊さん」
「うん、確かにな。国際会議で決めたパリ協定で世界各国はCO2排出削減に協力することを約束しているから日本も例外じゃない。日本が宣言するのは当然なんだが、問題はどうやって実現するかだ。ガースは止まっている原発を再稼働させて実現させようって魂胆だぜ。だから原発メーカーのトップを務めた経団連会長も『それならまぁいいか』ってニンマリしてんだよ」
「オイラ、原発動かすのは絶対に反対だね!太陽や風やその他の自然のエネルギーで賄おうと思えば出来るってぇ~じゃねぇ~か。そうしなきゃいけねぇ~よ」
「んだ、んだっ。ガースのやることは油断ならねぇ~んだ。国民は騙されちゃいけね~ってことよ、八っあん」
「そうだな、熊さん!」
「ところでさ、ちょっと耳貸しなよ」
「なんだよ熊さん、儲け話かい?」
「欲の皮突っ張らせてんじゃないよ。あのな、ガースが国会答弁も含めてあんなだろ。おまけにアベなんちゃらの後継を争った岸田や石破が今こけちゃってんだよ。だからってことじゃねぇ~んだろうけどもさ、辞めたばかりのアベなんちゃらがさ、再々登板に向けて意欲満々らしいんだよ」
「えっ! 8年近くも耐えて来てやっとヤツの面を見なくて済んでホッとしてるってのに、あろうことか3度目をやろって言うのかい。やだやだ。そりゃいくら何でも図々しすぎねぇかい」
「八っあんの気持ちよく分かるよ。オイラだって同じだぜ。でもな、ガースはコケる可能性あるぜ。そうなったとき、対抗馬がいねぇとしたらどうなっちまうんだ? だれがやるのさ?」
「熊さんいい加減にしてくれよ、‶モリカケサクラ〟のアベなんちゃらの再々登板なんて嫌だよそんなの。ゼッタイ嫌だね」
「だよなぁ…」
「熊さん、そんなことならこの際、野党に頑張ってもらうっきゃねぇ~よ」
「そうだよな。‶モリカケサクラ〟が再々登板するくらい有権者を馬鹿にした話はないしな。もう一度政権交代した方がましだよな」
「絶対そうだよっ!」