句会を終えて最寄りのバス亭に着いたのは午後3時半ころだった。
家までの10分ほどの道のりは幸いなことに風は弱く、雨も小降りで歩くには何ら問題はなく、辺りにはのんびりとウグイスの啼き声が響いていた。
家に着いてほどなくして、庭のカツラの木が大揺れに揺れ始め、大粒の雨がガラス戸に叩きつけ始める。危うくずぶ濡れになるところだった。
!?…2階のベランダには咲き始めたばかりの「空蝉」や「ブラッシングアイスバーグ」のバラの鉢植えがある。
恐る恐る目を向けると、開いたばかりの6~7輪の空蝉が狂ったように前後左右に大暴れしながら、のた打っている。
これが開いてしばらく経っているのであれば花びらがほどけて散ってしまい、ダメージもそう大きくは無いと思うのだが、如何せん、咲き始めでしっかりと引き締まった花は力をやり過ごせず、一身に風圧を受け止めて揺さぶられるばかりである。
ニンゲンの世界では不届きな大人が、首の十分座らない赤ん坊を揺さぶって大切な脳に障害を及ぼすようなことをしたり、最悪のケースでは死に至らしめるということが、たまに新聞沙汰として取り上げられる。
意味的には、バラが強烈な雨粒攻撃にさらされつつ、強風に翻弄される姿と大差は無いような気がする。
特にバラ愛好家にとって、こういう光景は正視に耐えられず、目を覆うばかりで、かと言ってほとんどどうにもならず、ただ風雨が治まってくれることを祈るしかない。
今朝は嵐が過ぎ去った後のお決まりの清明な空と空気が戻ってきて、差し込む朝の光にまだ開いていないつぼみの数々は生き生きし始めたが、一旦、頭を垂れてしまった花が元のように上を向くことは無い。
それでも、うつむいたままあと数日はその場で咲き続けることだろう。
そのまま残しておくのは痛々しすぎるので、切り花にして室内に飾ることも考えなくては…
花を生ける係の山の神に相談しようと思う。
以上、数日前の片瀬漁港からの富士山
辻堂東海岸