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平方録

19番ホールでの長居

半年ぶりのゴルフ。

家から30分ほどの海沿いの松林の中にあるゴルフ場。
横浜の名門クラブが台風被害に見舞われて軒並み閉場しているのに、ここはへっちゃらで営業中。
もっとも2ホールでフェンスが壊れて隣接する住宅地へトラブル球が飛び込まないようミドルコースがショートホールに短縮されていたが、そんなことは大した問題ではない。
予定通りできるということが何より。

まけに、数日前までの天気予報が曇り時々雨だったものが、前日になると雨マークは消えたものの気温が高くなる予報に変わった。
どんよりした曇り空でしかも蒸し暑いなんて嫌だなぁ、どうせ気温が高いなら太陽の光がさんさんと降り注ぐ下でプレーする方が気持ちがいいのになぁ…などと思っていたら、その通りになった。
午前8時過ぎからぐんぐん青空が広がって夏の太陽が顔を出し、その後もづっと付き合ってくれたのだ。

日本のゴルフ場というのはコース沿いの道に乗用カートという乗り物が走れるようになっていて、大半のゴルファーはこれに乗って移動する。
ボールのある所まで乗り物に乗り、ボールを打つとすぐまた乗用カートに戻って移動する堕落ぶりなのである。
まるで〇ザ〇のゴルフなのだ。
そう言う連中はロージンになる前に足腰が弱って歩くのに難儀を始め、やがて歩けなくなっていく。
退廃の先の必然なのだ。

ボクらが良く使うこのゴルフ場にはそんな乗用カートが無いから、すべて自分の足でテクテク歩く。
と言ったってコンクリートジャングルの殺風景な景色の中を歩くのではなく、松の緑と芝生の緑が青い空に映える広々した気持ちのいい空間を歩くのだから、それが何の苦になるというのか。
仲間が持っていた万歩計は1万8000歩という歩数だったから、特段目を剥くような多さでもない。
家を出る時からの計測数字だというかが差っ引くとしたって500歩前後だろうから、大差はない。

かくしていい汗をかき、気持ちよく残暑の太陽をたっぷり浴びてきた ♪

ゴルフのメンバーは2度目に勤めた会社の後輩たちで、たまには遊んでくださいよと誘ってくれるのだ。
一人だけまだ現役なので社内事情を届けてくれ、それを19番ホールであれやこれや聞くのも楽しみと言えば楽しみなのだ。
ボクはニコニコしながら聴いているだけの方が多いが、この会社で社会人人生を全うした他の2人は喜怒哀楽たっぷりの反応を見せながら根掘り葉掘り聞いているところなどは、いつまでも現役気分が抜けないというか、往時を懐かしんでいる姿が何となく微笑ましい。

しかし、あの調子でもう少し時間が経つと話しながら涙ぐむようになるんじゃないかと内心危惧しているのだ。
鼻水なんかすすりながら懐かしさのあまり涙を流すなんて老残の姿は見たくもないものなぁ。
余計な心配かもしれないが…

結局19番は焼き鳥をかじり、薩摩焼酎のロックが気持ちよく喉を通過して行って、気が付いてみれば3時間も長居してしまった。
まぁ、どちらかと言えばこちらメーンイベントですかな。

スコア ? ヤボなこと聞きなさんな。



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