平方録

今度は空母だってさ

空母とは、いわずとしれた航空母艦のこと。

戦闘機をたくさん積み込んで、攻撃を仕掛けようとする相手国に近づいて、そこから戦闘機を飛ばして相手に打撃を加えようというものだ。
第二次大戦から戦争の主力兵器に躍り出た航空機を生かすためには、こうした専用の船を用意して「移動基地」をいくつも持つことが戦いを有利に進めるのに欠かせないのだ。
軍事国家のシンボルでもある。

そういう物騒なものを日本でも持とうじゃないか、という検討作業が防衛省で本格化しているんだそうだ。
空母のような連続したまっ平な甲板を持つ護衛艦は既に2隻が就役していて、その1番館の「いずも」は横須賀基地に配属されている。
JR横須賀駅からすぐ間近の岸壁に係留されているから電車内からもよく見え、見上げるような高さの甲板やさらにその上に乗っかった天を突くような艦橋は異様な威圧感を感じさせる。
今はヘリを搭載しているだけだが、こんな護衛艦がどうして必要なのかボクには理解不能である。

検討の中身は短距離で離陸できるF35Bの導入だという。
導入がすでに決定している航空自衛隊の次期主力戦闘機のアメリカ製F35Aの一部を「B]に変更するか、別に追加購入するかの検討だそうだ。
F35Bの特徴は短距離で離陸でき、垂直着陸もできるから、現有のいずも型護衛艦をちょっと改造して搭載機とすれば「軽空母」が出来上がるのだという。
「軽」が付こうが付かなかろうが、見せつけられる側にとっては空母そものであり、その航空兵力というものは侮れないものとなる。

専守防衛が大前提の防衛力の中で敵基地を攻撃できるような「移動基地」がなぜ必要なのか。
その一点に絞っても、伝えられる「本格検討」は「何のために」「そもそも憲法違反じゃないのさ」という疑問がわく。

北から核ミサイルが飛んでくると大騒ぎし、その防御のためだと言って迎撃ミサイルの配備を強化するというのは「防御のためなら」と百歩譲って目をつぶるとしても、導入するミサイルそのものを射程も破壊力も強めたものにして発射基地を破壊できる長距離巡行ミサイルにすることにも疑義がある。
これだって専守防衛の枠を大きく踏み外しているんじゃァござんせんかね。
なんでこんな重大な決定がするっと通っちゃうのさ。

国会でちゃんと議論したんですかい。
議論なんか吹っ飛ばして、アベなんちゃらとその一味はいつだってやりたい放題なのだ。
民主主義国家だとばかり思ってきたが、奴が政権を担うようになってからは「閣議決定」なんぞという奇策で議論を吹っ飛ばして集団的自衛権行使を求めてしまったり、挙句に憲法学者の大多数が憲法違反だと口をそろえ、多くの国民が反対の声を上げてもなお平然と無視し、強行採決によってアメリカが起こす武力紛争につきあうための安全保障関連法を成立させてしまった。

アメリカに付き従ってイクサの場に臨むからには一番槍で手柄を立てなければ、そのためには自前の空母ぐらい持って駆け付けなければと思っているのかもしれないが、バカも休み休み言えってんだ。
どうやったって東アジアから抜け出すことが出来ない日本にとって、中国、台湾、韓国、北朝鮮の4か国と仲良く暮らす手立てを考える方が、己の爪をせっせと研ぐより、よっぽど効果があってこの地域に暮らす人々にとっても意義深いんじゃないのかね。
そういう考え方こそ、アベなんちゃらお得意の積極的平和主義ってやつだろうに。いい線行きかけてるんだけどズレてんだよな。惜しいね、アベちゃん。
願わくば「本来の」積極的平和主義に戻り、その中心的役割を果たしてもらいたいね。ノーベル平和賞が待ってるよ。



あぁ堂々のニッポン海軍!


まっ平で長い甲板を持つ護衛艦いずも


見た目はまるで空母(いずれも横須賀駅に停車中の横須賀線電車内から撮影。8月23日)
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