一年分の悔しさを煎じ薬にして、しかもそれを可能な限り煮詰め濃縮したものを飲まされたような日になってしまった。
サッカーJリーグ、湘南ベルマーレ対横浜マリノス戦。
ベルマーレの本拠地平塚のレモンガススタジアムでの最終戦を山の神と見に行った。
ファンクラブに入って熱を上げている孫息子の若に連帯して付き合ったようなものだが、スタジアムに足を運んだ時の戦績は降格圏内をさまようチームながら、負け戦はまれで、いつも応援のし甲斐のある良い思いをしてきた。
ところが…
実力、順位上位のマリノスに対して先制点を挙げ、後半早々同点に追いつかれたものの、しばらく一進一退を続け後、勝ち越しのゴールが決まり、さらに3点目…
と思ったら、これはぬか喜びで、ビデオアシスタントレフェリーの検証の結果、オフサイドだったことがわかって取り消しになったが、2対1とリードを保ち、後半も45分が過ぎようというころ、守備陣に気のゆるみが出たとしか思えないが、緩慢な守備網が簡単に崩され、あっという間に同点に追いつかれてしまった。
そしてアディショナルタイム。
ここで踏ん張れば引き分けの勝ち点1が入り、悔しいけどもせめて勝ち点1を得てシーズンを締めくくれる、と思ったのだが、同点にされて気落ちしたのか、立て続けにゴールを割られてしまって万事休す。
それにつけてもベルマーレのボケ具合は救いようがない。
後半に再度リードを奪った時点で、残り時間は守りに徹して勝ち点3を死守するために守り抜くという戦い方が、どうしてできないのか。
イイ感じの勝ちゲームをみすみす失うようなことを繰り返すから、いつも下位リーグへの降格圏内をうろつくことになる。
頭が悪い証拠である。
ところで、最終戦のチケットは発売と同時に完売になっていたのだが、若の母親がキャンセル切符2枚を見つけ、山の神が購入を即決したのだった。
ところがこれがいささか問題で、メーンスタンドなのだが、ゴール裏のマリノスサポーター席に続く場所で、スタジアムに行ったら周りはマリノスファンばかり。
先制点が入ったときは、周りに気兼ねして喜びを爆発させることができず、山の神とこっそり手を合わせて喜ぶ程度で我慢するしかなかった。
後半、同点に追いつかれ、それを振り切る勝ち越し点が入った時も、「よしよし」とひそかに心の中で喜ぶだけだった。
こういう完全アウェーの環境は先の九州旅行で湯布院行きの特急列車の車内で味わって苦々しく思ったが、それに続く苦々しい忌々しさではあった。
そういう環境の中で、敵ファンが大盛り上がりし、大喜びする中、ボクら本来のホーム側のニンゲンは小さくなってほぞをかまされたわけである。
こんな間尺に合わないことが他にある?
おまけにマリノスはJリーグ発足当時からの老舗チームで看板チームでもあり、ファンの応援もまた実に見事なのだ。
特に喜ぶ時の感情の発揮の仕方が敵ながらあっぱれ、気持ちがいいほど喜んで盛り上がる。
この日も同点ゴールに周囲は総立ちになって喜び、逆転ゴールが決まると今度は同点の時以上に雄たけびを響かせつつ、こぶしを突き上げ飛び上がらんばかりの大騒ぎになった。
その大騒ぎの底でじっと椅子に座り続けて臍を噛むばかりのボクたちの光景は周囲の目にはどう映ったか…
ベルマーレのファンの喜び方は中途半端というか奥ゆかしいというのか、総立ちどころか椅子から立ち上がるものもほとんどいないくらい控えめに喜ぶだけ。
きっとファンの熱量、年季の差なのかもしれないが、そこがまた悔しくてならない。
あんな完全アウェーの席での観戦なんて金輪際こりごりだ。
悔しいったらありゃしない。
一晩過ぎたけれど、まだ悔しい。
風も弱く、小春日和の絶好の天気に恵まれ、スタジアム周辺は家族連れでにぎわっていた
今、イチョウがきれい♪
田舎の陸上競技場だから1万3000人しか入らない
それでも来季の残留が決まっているせいで、スタンドは満員
リーグ最終戦だけに試合開始前のセレモニーがにぎやかに繰り広げられた
ベルマーレ先制ゴールの瞬間(右側のゴールポストの内側にゴールに入りかけるボールが見える)
コーナーキックからの得点だが、点が入る予感がしてスマホを構えていたらどんぴしゃりだったのだが…
バックスタンドはベルマーレファンで埋まっていたが、メーンスタンドはホームの試合にもかかわらず青いユニフォームをまとったマリノスファンが目立った
山の神曰く「今日は横浜で朝からプロ野球の横浜ベイスターズ日本一を祝うパレードがあったし、青いユニホームに敬意を表す日なのよ、仕方ないわね」。
ボクも2003年の岡田武史監督の下、マリノスが連覇した時まではマリノスファンだったから、"昔の恋人"ではあるんだけどね…