若いころならいざ知らず、ヨワイ70の古希とやらを目前にしたジジイども5人である。
このうち3人とは2か月に1度くらいの頻度で飲み会を開いてきたのだが、今回はひょんなことから拡大版と相成った。
高校時代の1年1組のクラスメートで、サッカー部が3人、ラグビー部と柔道部が1人ずつ。
結局、大した話をしたわけでもなく、これまでどういう来し方をしてきたのか披瀝するわけでもなく、なんとなく飲み、なんとなく取り留めなく話をしただけである。
5人ともそれぞれ違った人生を歩んできたわけだから、もう少し工夫があってしかるべきじゃないか、こんなことでいいんだろうか、という気持ちがわいてきたのも正直なところなのだが、さりとて、物には流れというものがあって、途中でああしようぜ、こうしようぜなどと言ってもしらけるだけだろうから黙って時間をやり過ごしていたが、だれの口からも異論が出ずただ時間が過ぎていったところを見ると、それでもよかったんだと納得するしかない。
帰りの比較的込み合った電車に乗り合わせた連中を見れば、ジジイの姿はなく、座席に座っている若者も吊革につかまって立っている若者も、車内の大部分が携帯電話の画面とにらめっこしている光景はちょっとたじろぐくらいに一種異様である。
深夜の電車に乗るなんぞは実に久しぶりのことだから余計にそう感じたのかもしれない。
座席で眠りこけているような奴も見当たらず、深夜まで酒もまずに何をしていたのかと首をひねりたくなるが、まじめに働いていんでしょうなぁ。
不良ジジイとしては、若者よもっとまじめに遊びなさい、と叫びたい気分である。
話は脱線したが、50年前の高校生は吾輩を除いて、いずれも髪の毛は白くなっていて、ロマンスグレーというよりも単なるジジイの風貌である。
正真正銘50年ぶりに再会した1人は小さな街の市会議員を1期務めたことは風の便りで耳にしていたが、政治活動という名目の連夜の不摂生(本人の弁)で糖尿病にかかってほとんど光を失ってしまっていた。薄っすらと輪郭のようなものは見えているようだが、はっきりと像を結ぶことはないらしい。
おまけに、議員時代は歯がぽろぽろと抜けたそうだが、落選して議員を辞めてからは1本も抜けていないから、あれはストレスの仕業だと言っていた。まぁ、議員には向いていない性格だったようである。議員になって歯が抜けるようでは議員諸侯はみんな総入れ歯をしなければならない。
舌だって複数枚持たなければいけないから、口の中はさぞや大変なことになるだろう。
まともな人間のやることではないのだ。
待ち合わせ場所まで奥さんに送られてきて、帰りは2軒目のスナックに迎えに来ていた。献身的な奥さんである。
次回の話は出なかったから、こういう集まりは1度きりかもしれぬ。
そもそも、この元市会議員がいきなり電話をかけてきて、高校時代の同窓会組織の副会長をしているのだが、君に講演を頼みたいといってきたのが発端である。
現役を離れて時間が経っているので無理だと断ったのだが、その際に「〇〇たちと飲み会をしているそうじゃないか。1度誘ってほしい」と頼まれていたのだ。
結局50年の空白は、簡単には埋まらないということのようである。
思えば珍しい晩であった。
横浜イングリッシュガーデンの秋バラ
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