平方録

〝七変化〟に吸い寄せられる人々

抜けるような真っ青な空に誘われて、森を抜け七里ヶ浜の波打ち際まで下りてみた。

海に出てみると水平線近くの空はぼ~っと薄く濁っていて、その分視界は良くない。霞んでいる状態なのだ。
富士山の位置を知っているので、目を凝らしたら何となく頭のてっぺん辺りがはるかに霞んで見えるような気がしたが、それも定かではない。
これが水平線の彼方までクリアカットに見えるようだと梅雨明け本番の夏空ということになる。
あくまでも梅雨の晴れ間なのだ。

駐車場の脇から浜辺に降りて稲村ケ崎まで裸足になって波にさらしながら歩いたが、もう海水はすっかり温まっている。
裸になって水と戯れている親子連れもいて、この青空と光の下では極めて自然なふるまいである。生命は海から誕生したんである。
ただ、何となくいつもの七里の海ではないなと感じたが、サーファーが1人も海に出ていないのだ。
どこかでサーファーのイベントでも開かれていて、大挙してそちらに行ってしまったかといぶかるほどである。

波が全くない海だったとはいえ、こんな日は1年のうちに何日もあり、鏡のような海でさえサーファーがアザラシの群れか何かのようにただボ~ッと浮かんでいるだけの光景をよく目にする。
それがゼロ、というのも妙なものである。
天気予報はこんな青天を伝えていなかったから、そんなところにも要因があるのだろうか。
サーファーという人種は計画的な人ばかりなのかもしれない。

稲村ケ崎からは極楽寺の切通し脇の成就院を通り、権五郎神社を抜け、アジサイ見物の客でごった返す長谷寺の門前を突っ切って長谷からバスで戻ってきた。
成就院は去年改装工事が終わったばかりで、参道になっている階段脇のアジサイも植え替えられていてまだ小さいので、見る影もなかった。
ここがアジサイの名所として復活するまでにはしばらくかかりそうである。

権五郎神社の鼻先に江ノ電の踏切があり、線路の両側にアジサイが植えられていることから、極楽寺を出た電車がトンネルを抜けアジサイをかき分けて走るさまが被写体として絶好なのだろう、こちらもカメラを手にした人で大変な混みようで、「ココは踏切です! 立ち止まるところではありません」と、特別に配置されたガードマンが声をからして叫んでいる。
先週の土曜日も北鎌倉の明月院へ向かう人波は相当なものだったが、国会の周辺にもアジサイを植えてみたらどうかね。
議事堂の周りを大勢の人が取り囲んだら、少しはまともな議論をしようと思うだろうから……

そうそう、わが家へ通じるバスの混み具合も初めて経験するものだった。
? と思っていたら終点近くの停留所で大挙して降りて行って、残った乗客はボクを含めてたった2人になってしまったのにはあきれた。
海がちらっと見える広い庭が自慢なのだが、そば懐石の味を称賛する人にはまだお目にかかったことがない。
そうか、あそこにも確かアジサイがあったなぁ。



目をよぉ~っく凝らすと富士山の頂上付近がうっすらと見えるのだ




波が静かで海水浴客で掻き混ぜられていない海は透き通っているのだ


稲村ケ崎に咲いていたツユクサの青がやけに濃くてきれいだった


由比ガ浜から材木座にかけての海が見える成就院参道のアジサイに見ごたえが出るのは数年先である
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