低気圧の接近で大雨が予想され、しかも瞬間最大風速が35mもの強風が通勤・通学時間帯を中心に吹き荒れるという予報だった。
ところが北風で一番強かったのが夜明け前の7mで、雨に至ってはお湿り程度のものが短時間パラついただけ。
しかも昼過ぎ位から日差しが戻るはずが、通勤時間帯を過ぎるころから青空が広がり、気温もぐんぐん上昇し、ついには20℃を超えるありさま。
まったく近頃の天気予報はよく外れる。
その昔、まだフグ料理で当たったりして酷い時は落命までするような時代、大阪の道頓堀界隈のフグ料理屋に出入りして天下の美味を楽しむ粋客は「気象庁気象庁」とか「天気予報天気予報」と呪文のように唱えて箸を付けたそうだ。
そのココロは「当たらない当たらない」。
昨日は日の出前の暖房のない部屋でパソコンの前に向かっている最中はまるでオコモのように衣類を着込んでいたが、朝食を終えた後、北風の当たらない南側のベランダで植物の世話をする頃には暑くてかなわず、短パンとTシャツ1枚の完全夏姿になる有り様。
新陳代謝が活発だった頃なら、多少の気温の変化など身体の方が勝手に順応して特段、何もする必要がなかったが、ジジイになってみるとそういう器用な真似は到底無理で、外側を覆っている衣服を着たり脱いだりして調節するしかない。
しかも、これまでは季節の歩みと言うのはそれなりの法則に支えられ、夏が終われば秋になり、徐々に気温が下がって行けば木々が葉を落とし…てな具合に秩序だっていた。
それが近年は夏と冬は存在がはっきりしているが、両者の間の季節と言うのが実に曖昧で、一昨日真冬だったかと思えば、昨日のように短パンとTシャツ1枚でなければ暑くて敵わないような、しかもたった1日の間にもそうした変化が顔をのぞかせ…まことに乱暴である。
これじゃ国の役所が都合の悪い行政記録を自分たちの都合の良いように書き換えてシレッとしているるなんてことがまかり通り、それを何ら恥じないなんて一昔前には信じられなかった出来事が起こるのも何ら驚くにはあたらないってことにつながっていく。
ところで、短パンとTシャツ1枚になってベランダに張り付いたのは鉢植えのバラの世話の為である。
大事にしている「空蝉」の幹や古枝に1、2年前から白いかさぶたのようなものが目につくようになり、今年はこれが爆発的に増え、何本かの枝が真っ白な埃に覆われたようになってしまった。
カイガラムシらしく、樹皮に張り付いて樹液を吸い、次第に株を弱らせる害虫である。
これが取り付いたからと言って、直ちに株が弱ったり枯れたりしないため油断していたが、今年の爆発ぶりを目の当たりにしてさすがにびっくりして腰を上げざるを得なくなった。
こびりついているカイガラムシを枝からはがすことが先決で、歯ブラシなどを使ってこそぎ落とすのだが、ヒトの歯を磨くようなやわなものでは役に立たず、結局ホームセンターを物色した挙句、塩化ビニールの類で出来た硬いブラシと金属製のワイヤーを束ねて作ったブラシの2種類を手に入れて臨んだのだった。
結果は上々で、特に仕上げに使ったワイヤー製のブラシの威力は抜群で、ヒトで言えば柔肌に乾布摩擦の刺激を与える以上の効果があったのではないか。
とにかく張りのあるつやつやすべすべの肌の如くになったのだから…
この後、横浜イングリッシュガーデンの売店で初めて見つけたカイガラムシ用の殺虫剤なるものを買ってきてあったので、これを一吹きして仕上げとした。
これで万事解決とも思えないが、完全勝利へ向けての第1歩くらいは踏み出せたんじゃないか。
こうした作業を根気よく何度か繰り返して行けば、完全勝利宣言も遠くないと思われる。
こそぎ落としたカイガラムシってのは自分では動けないので、落ちたところで放置しておけばいいそうだ。
バラのツボミや新芽に取りついて片っ端からしおらせて仕舞う憎っくきバラゾウムシなどの害虫に比べると、動き回らない分、与しやすいと思うのだが、しつこさは勝るとも劣らないので、じっくり取り組んで根絶に追い込まなければ。
とりあえず第1ラウンドの終了である。
(見出し写真は北鎌倉・東慶寺のフジバカマ)