平方録

続・七里ヶ浜の国道134号

世間では3連休だったようで、その最終日。勤労感謝の日だが、勤労とは縁のない日々を送っている身には無縁の日である。

鎌倉の3連休というのは不思議なもので、季節を問わず3連休の初日、2日目はどこもかしこも長蛇の列が出来るほどの観光客が訪れるのだが、3日目は判で押したように人波は途切れ、特に午後は地元の人間だけしか出歩いていないかのように、ひっそりとするのが常である。
3時過ぎにスーパーに買い出しに行き、午前中は朝早くから渋滞していた海沿いの国道134号を寄り道してみたが、坂ノ下から腰越までの渋滞名所はスイスイ。
如何にも不景気な、どんよりと低く雲が垂れこめた陰気な日とはいえ、まったく渋滞なし。しかも交通量は極端に少なく、地元の車だけだとこういうことなのだと、改めて思い知らされた。
ただし、逆方向の腰越から滑川にかけての東方面に向かう車は、どうした訳かびっしり詰まっていて、三浦半島方面に住む人たちが西の方に出掛けていて、一斉に帰るところなのだろうか。不思議な光景であった。

この134号の七里ガ浜の駐車場の西側から鎌倉高校にかけての560メートルの間で行われている改良工事で、海側に道路を広げるために鋼管の筒状の矢板を打ち込む作業が続いていたが、どうやら終わったようである。
現場に掲げられている看板によると、工事期間は「平成26年1月中旬から平成28年2月下旬」とあるから、完成まであと3カ月ということらしい。

そもそも、この道路の渋滞を解消させようという試みはいいとして、最大の原因は、東から西に進む車が鎌倉高校前の踏切を右折する際に、流れを遮断することで、車の流れを止めてしまうという点にあるのである。
その解決策として、最も安易なのが海側の砂浜の一部にはみ出して道幅を広げるやり方である。
ここの砂浜は年々やせ細ってきているにもかかわらず、それを強行することに、地元の一部に抵抗は強かったんだと思われるが、行政の常として、一番安易で安上がりな方法しか採用しないのである。

かくして、砂の自然な供給というものが期待できなくなった今、細い砂浜はさらに細く貧弱になり、やがて道路の擁壁を波が洗うというような事にならないのか。一時はスイスイ流れるかもしれない道路には、やがて現状を嫌って避けていた車も戻ってきて、いつまで渋滞解消の効果が持続するのか、怪しいものである。

現場には詳しい完成予想図は掲げられていないが、神奈川県藤沢土木事務所が地元説明会に提示した資料がインターネット上に公開されていて、それによると、車線を増やして右折レーンを確保し、歩道の幅も広げるために、それぞれの車線の幅は今よりも狭くなるようなのである。
現状だってトラックなんぞに並ばれると恐ろしくて思わず止まってしまうほどの幅しかないが、完成後しばらくは車の流れがスムーズになるとなれば、今はノロノロ走っているから、それほどの恐怖は感じないが、スイスイ流れるとなると恐ろしいことになりそうである。
しかも、だれの目にもきれいな海が広がっているのだから、わき見運転をする不埒な輩もきっと混じるに違いない。

ここの区間は目の下に海が広がるような場所で、自転車で風を切って走ると実に気持ちよく、お気に入りのコースのひとつなのである。
自転車乗りに安寧が続きますように。





国道134号で続く拡幅工事。砂浜はさらにやせ細るにちがいない。(11月6日撮影)
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