たまねこ*古布とmy garden

朽ちゆくものの愛おしさ

画家や写真家が朽ちゆくものを題材にしたり、

パッチワーク作家があえて滅びゆく古布を使ったりします。

エントロピーにしたがい、衣服その他の物質は摩耗するからこそ

色や形などの時おりの変化を楽しめているのかもしれません。

他方,人間はより耐久性のある物を一生懸命に作ろうとします。

そうした物質の中には,いくらかの利点を持つものもありますが,

同時に深刻な問題をも引き起こしています。

例えば、ある種のプラスチックはノンバイオデグラダブルと呼ばれる

物質,つまりバクテリアの活動にほとんど,

あるいはまったく影響されない物質として合成されています。

これは処分が非常にむずかしく,

もし焼却などの方法によって処理すれば,

生命に危険な有毒ガスが生じます。

また、何物にも化学作用がおよばず、

どんな物質も決して素質低下をきたさないとしたら,

まさつによって物が摩耗することもありません。

そうなれば,切ることも,ひくこともできず,

何物も変化させることができません。

手の技を楽しむことも、なすべき仕事もないでしょう。

実際のところ,化学作用が起こりえなければ,

食物となるものが生育することもなければ,

食物を食べたり消化したりすることもできないのですから,

地上で生きていくことも不可能になるということです。

詩編 102編25‐26節には,こう記されています。

「あなたは昔,この地の基を据えられました。

天はあなたのみ手の業です。それらのものは滅びうせます(中略)

それは衣のようにみな古びてしまいます。

あなたは衣服のようにそれを取り替えられます。

そしてそれは用を終えるのです。

19世紀に科学者のウィリアム・トムソン(ケルビン卿)が

熱力学の第二法則を発見する一助となったのは,

この詩編 102編25‐27節を注意深く研究したからだそうです。

愛おしい私の、朽ちゆく布たち



着物リメイクは花柄絵がすりのワンピースです。明日仮縫いします。


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