当時、彼の落語はガキにも「おもろない」というもので、師匠の桂小文枝(五代目、桂文枝)に『ほんま、お前ヘタやなぁ』と番組の中で言われていたほどだ。この時の出し物はいわゆる古典落語。その後、彼は創作落語と呼ばれる新作の落語で大化けすることになる。(彼の名誉のために言うと、その頃は古典も面白く演じていた)
この古典落語、導入部の枕は多少変わるが落ちは変わらない。不思議なのは、名人がやると何度聞いても可笑しいことだ。今の若手お笑い芸人は消耗品になっているが、瞬間芸しか出来ないから飽きられるのも早いのだと思う。また、生き残った人たちの多くは司会で余生を送り、お笑いの世界には帰って来ない。
ナオユキさんのスタンダップコメディは古典落語の趣がある。オチが判っているのに話術で笑ってしまう。そう思って通っていたら、最近ちょっと違うことに気付いた。オチも変わって来た(笑)。前に聞いた時はこう来たよなと思っていたら、違うことが何度もあった。この裏切られ感がまた新たな笑いを呼ぶ。
『(泣きながら)うちなぁ、いままでウザイと言われては男に逃げられてきてん。今度の彼は違うで、優しい人やし。でも、なんで一昨日から帰ってけーへんのやろ?』・・・・「やっと気付いたんとちゃうか?」ナオユキさんのコントは身も蓋もなく現実を言い当てる直球が多いが、この日は変化球が増えていた。
変化球その1。『あの店、美味しいわ』・・・『食いもんはうもぉても店は食えんやろ』みたいな定型句への突っ込み。確かに水が沸いて湯になるのに、水を沸かすとは何故か言わんもんな。変化球その2、『あんた!今何したん!!タバコ道に捨てて、あほか!』・・・『まだ吸えるやないか、もったいない』のような『そっちかい!?』系コント。
これらが入り混じり巨大なパッチワークになる。オチが変わると言ったが、そのままのもあり、それが連続で出てくるわけではないのがすごい。このネタさっき聞いたなと思うとオチが違うんだから。2時間以上喋りつづけネタが被らないのが不思議だ。きっと練習量、凄いんだろうな。
最後の告知で、ブルース・フェスに出ると言っていた。そうか、ブルースも古典落語みたいなもんで、イントロやサビは同じでも演奏者で違うものになるからな。『主催者の方にブルースと認定されたようです』(笑)。さすがライブの芸人さん。また、それに気付いた主催者に脱帽。
(※会場は王子公園、水道筋商店街のぺけひゃく)
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