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飛び出す画像の功罪

ぼーずがジャリの頃『飛び出す鉄人28号』という、月刊誌少年の付録を見たことがあった。青赤2色刷りの漫画を、これまた左右に青赤のセロファンを張ったメガネ(と言うよりは博多にわかの面ですな)をかけて見るというものだった。余りよく覚えていないのだが、漫画は同じ絵を、青赤2本の線で微妙にずらして描いてあり、裸眼で見るとダブって見えた。

それがメガネを通すと何となく浮き上がって見えるのが不思議だったが、しょぼい立体ものであることは子供にも明白に感じられた。ところが、時代は変わり映画やビデオまで3D処理されたものが出てきたが、初期の??ものに比べ最近の作品は格段に進歩してきた。

そもそも筋の下らない特殊効果だけの作品は面白くないと言うのがぼーずの持論だった。CGものの嚆矢と言われた82年の話題作トロンを先日観たのだが、ひたすら退屈だった。CGを見るだけでも価値があると言った『アバター』はストーリーも面白かったと思う。

ちょっと歯切れが悪くなったのには訳がある。今までおちょくり倒してきた『トランスフォーマー』をまた見に行ってしまったのだ。こき下ろすためではない(金があればそれもいいか)予告編を見て、つい前売りを買ってしまった(笑)。

結果は・・・3Dの進化を見せつけられた。なんと、2階の客席までスクリーンから腕が伸びてくるのには驚かされた。封切り中に言う事ではないが、筋は本当に下らない。どっかで聞いたような話の連続であった。が、迫力満点の画面を目の前にすると、まぁいいかという気になってしまう。

ここで止めておけばよかった。CGものの3D化は新しいジャンルに成り得るという結論で締めておけばきれいに決まったのに・・・。悪い癖なんだな、気が向くとそれに凝り過ぎるのが。2週間前に観た『死の秘宝Part2』の3D版を観に行ってしまった。

あれを3Dと呼ぶかなぁ。多少の奥行きは感じられたが、飛び出し方が普通なのだ。箒で飛ぶシーンなんか見せ処だと思うのだが、極めて普通だった。CGが3Dに追い付いていないのだ。唯一効果を感じられたのはバラバラに飛び散ったヴォルディモートの破片が飛んできた所だ。

スプラッタームービーじゃあるまいに。妙なもんが飛んできても嬉しくは無い。3Dにする前にどういうシーンを見せたいのかをまず考える必要があると感じた。少なくともぼーずに取って500円増しの価値は感じられない出来であった。
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