昨夜の台湾総統選挙、戦いすんで日が暮れて、16時00分にはノーサイド。
勝敗の帰趨はすでに選挙前から判っていたものの、19時以降に始まった各陣営の集会は、とても印象的でした。
投票率は68%、日本人のkazanから見れば、直接選挙で国家元首を決める投票の割には、少し少ないのではないかという印象です。
今回は選挙権もない、長期滞在の一居留者に過ぎないkazanがやけにハイになっていたのが、我ながら不思議でした。
やはり、大陸中国と、一つの中国を標榜する「国民党」と、「台湾」「台湾人」のアイデンティティを前面に出した「民進党」の対決という構図が在ったのは確かですが、それよりも女性党首・蔡英文氏の知性と外交力に期待するkazanの思い入れが強かったことが最大の理由でしょう。
勝利確定後の、外国人記者団からの質問で「台湾、台湾人としてのアイデンティティを、外交的にどのような舵取りをするのか云々」の質問が出た時には、世界中の主だった国がこの選挙を熱く見つめ、蔡英文氏の勝利の大きな期待を共有していたことを感じた時、感動で涙が流れました。
実に過去30年に渡り、中国との交流を目指してきた政権下で、約30,000人の冒険心に富む起業意識の高い台湾人が、中国へ投資をしました。 その投資額は単純に一人日本円換算で5,000,000円を投資したとしても、1,500億円になり、おそらくその投資額は2,000億円を下らないだろうと想像します。
その結果、台湾国内の産業の空洞化が進み、大学新卒者の多くの雇用が不安定になり、主要都市の目貫通りには、貸し店舗、空き事務所が散見されるようになりました。
更に不幸なのは、この投資の90%以上が、支那中国の不法な法律で、雇用していた中国人や地方政府に収奪されたということです。
言うなれば、中華鍋しか制作できない支那・中国人に、近代的な生産現場、生産設備、製造手法、運営ノウハウ、管理手法を移入した途端に、その全てを収奪され、放り出されたということです。
この無償で入手した資産により、中国が世界の工場に、のし上がったということは言うまでもありません。
こうした台湾国民の閉塞感、巨大化した中国の影響力のリスクに目覚めた学生が起こした2年前の「ひまわり運動」のエネルギーは、ほとんどの台湾人の支持を獲得して、勝利し、政治を変えるエネルギーになり、今回に選挙結果につながりました。
こうした環境下で、公明正大な選挙を成し遂げた台湾社会は、当然国際社会から大きな賞賛を得るだろうし、こうした流れの中で、新国家元首の蔡英文氏は、台湾国としてのアイデンティティを前面に出した外交が予想されますから、国際政治の孤児とも見られていた台湾は、再び国際政治の場にカムバックすることを確信します。