初めて旦那さんと出会ったのは5年位前、大阪の通天閣の真下でした。
その頃、私は事務や経理のお仕事をしていましたが、どの会社も長続きせず(人間関係がうまくいかなくて)求職中で、ハローワークに行って面接を受けながら、空いた時間にお酒を飲んでいました。
通天閣の商店街の中に、ライブやマジック等のイベントを見ながら、たこ焼きやお酒を飲める場所があり、そこの常連になっていました。
いつもの通り、缶酎ハイを何本か飲んで、他の常連のお客さんと騒いでいました。
するとお店のマスターが『今度うちでライブするK君や!』と男性を紹介しました。
ギターを持って、長身でロングヘアーの若い子。
「今度、ここでライブさせてもらうことになったKです。よろしくお願いします。」
何度も頭を下げてていねいに挨拶するので、緊張をほぐすのに「じゃあ、一曲なにか歌ってもらおうか!」ってなりました。
彼の歌は、独特の節回しで暗い曲調。これは受けないな、と思った。
ビートルズをリクエストしたり、一緒に歌を歌って酒を飲み、いい気分にほろ酔いに。
そろそろ帰ろうとお店を出て、駅に向かいました。
後ろから『先ほどは歌を聞いてくれてありがとうございました!』と声がする。
振り向くとK君だ。
「こちらこそ、楽しい歌をありがとうございました。(お世辞)もう、お店出てきたの?」
『はい。お姉さんにアドバイスしてもらったおかげで・・・ほにゃらら・・・』なにやら丁寧に話し始めた。
10分経過・・・。何を言いたいのかまったく分らない。
もうすぐ、電車の終電の時間。やばい。早く帰りたい。
「ごめんね、もうすぐ終電の時間やから、話はまた今度にしてもいい?」
『いや、実は大事なお話があって・・なんちゃら・・。』
いらいらする。何が言いたいねん。
お店に戻って、マスターに助けてもらおうか。いや、そんな事したらこの子がライブしづらくなるかも。走って逃げるか。
すでに30分過ぎていて、走らないと電車に間に合わない。
「ごめん!もう帰るわ。」走ろうとした時、K君にカバンを掴まれた。
「なにすんの!カバン放してよ!」
『お姉さんと話がしたいんです!ご飯でも行きましょう!』
ええっ!これ、ナンパやったの。なんてわかりづらいナンパや。しかも、カバンつかんで放せへんがな。
「放してよ。こんなんされたらふつう引くで!」
『・・・ごめんなさい。でも、どうしてもお姉さんとご飯行きたいんです!』
捨てられたような子犬の目・・。ううっ、こんなんには弱い。
何かされたらマスターに言って出禁にしてもらったら良いし、悪い感じはしないし、なんかされたら股間けってやろう。
手に障害あるって言ったら、逃げていくやろうし、一食分の食費をうかしたろ。
なんてあざとい気持ちで、ご飯に行っちゃった私。
定食屋でご飯を食べて、帰りに長居公園にいこうと誘われ、明るくて人のいる場所を選んで歩きました。
その時に両手に障害があることを話して、どやっ!っと思ったら泣き出すK君!
『今まで、たくさん苦労してきたんやな~。(涙)』
えええっ!!なんて子やの。シーラカンス?天然記念物か!ほんまに泣いてるで!
涙がつうーっと流れます。
「いや、そんな苦労なんてしてないよ。生まれつきやし、慣れてるよ。もう泣かんでもいいよ。」
この涙にほだされて、私たちは付き合うことになりました。
今思えば、ナルシストじゃあないのか疑惑(缶ジュースを、くるっと上に投げていちいち渡すとか、鏡でよく顔チェックしてるとか)があったのに見落としてしまった。
この先、とんでもない苦労がまっているのに、あの時に戻れるならひと言言いたい。
「その男とおったら、この先たいへんやで~。えらいもめるで~!」って(ーー;)
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