◆ 『オキナワの家 くうねるところすむところ 子どもたちに伝えたい家の本』 伊礼智 著 インデックス・コミュニケーションズ
2017年08月14日
ここのところ、一生懸命、探していた本である。
私の大好きな本。
引っ越しやら本棚の移動や増設やらで、本の大移動があって、以前に置いてあった棚からいつの間にか姿を消してしまった。
人に貸した覚えもなく、絶対にあるはずだと、探し続けて、ようやく見つけた。
なにげに、ホッとする。
私は、子どもの頃から、家を建てる方法が描かれている本や、実際の建築物、といっても路地に建っている普通の家だけど、そういうのを見て歩くのが大好きで、それはいまだに続いてる。
私のウォーキングは、実は路上探検である。
後年、建築史の研究家で、路上探検家の藤森照信の本と出会った時は、それは夢中で読んだものだった。
そんな訳で、本屋さんで『オキナワの家』(2004年出版)を見つけた時は、それはワクワクとして、レジへ向かったのを覚えている。
いわば、幼い子どもが、宇宙飛行士になりたいとか、サッカー選手になりたいとか、アイドルになりたいとか、そんな感じに近いと思う。
そんな感覚を、私は中学生ぐらいになっても、なぜか東京芸大の建築学科に行って、ベートヴェンとか、ラフマニノフの譜面みたいな、家を創りたいと夢みて、抱き続けていた。
そういう夢をみていたことを、30年ぶりとか40年ぶりとか、ぐらいかも知れない。
思い出させてくれた本が、『オキナワの家』だった。
しかも、著者の伊礼智は、琉球大学を卒業後、なんと、私が憧れて憧れた東京芸大建築学科大学院へ行って、建築を学んだ人だったのだ。
そんなミーハーな私とちがい、実は『オキナワの家』の内容は、実は、非常に濃い。
タイトルにカタカナ表記でオキナワとあることでも察するが、沖縄の置かれている位相を抜きには語れない。
沖縄では、先に大戦で実家の母の兄、叔父が戦死している。
沖縄には、母とともに2度ほど、仕事で1度、おとずれているが、実は観光という目的というかそういう雰囲気にはなれない土地である……。
沖縄の家は、美しい。
その構造に目をみはるのだ。
家をスージー(路地)との結界である魔除けに、ヒンプンという壁がある。
右から行くとハレ。
左から行くとケ。
家の真ん中にトートーメー(仏壇)がある。
なんといっても、雨端が、いい。
雨端から、出入りする。
いわゆる、玄関という概念がない。
家の断面図。ヒンプンと雨端、トートーメーの位置がわかる。
家の中、周りには神様がいる。
屋根瓦の上ではシーサーが家を守る。
赤い瓦屋根が美しい。
私は、大自然の醍醐味よりも、このように人間の創造したものに、その美しさの醍醐味を感じてしまう。
家には、そこで暮らす人々の、民俗の、死生観がある。
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