ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◇『七帝柔道記Ⅱ  立てる我が都ぞ力あり 北大』『VTJ前夜の中井祐樹 七帝柔道外伝』 増田俊也 角川書店

『七帝柔道記 Ⅱ          
立てる我が都ぞ力あり 北大』


増田俊也の、前作『七帝柔道記』も、続編の『七帝柔道記 Ⅱ』も、とにかく札幌も猛吹雪、北大構内の原野に吹き荒れるホワイトアウトの言及が多い。

北大構内の初夏も夏も、殆ど描写されない。

面白いな、と思う。
増田俊也は、名古屋出身である。
札幌の冬が、強烈な記憶となって残ったようだ。

北大構内全敷地は、確かに広い。
増田は、その書籍に東京23区の総面積より広いという。
ちょっと検索してみたら、北大の総敷地面積は660平方キロメートル。
東京23区はこれより、20か30、少ないらしい。

私の実家は、札幌市北17条にあったので、目の前が北大だった。
まさに増田俊也とその仲間たちが、吹雪の中、夜な夜な徘徊していたあたりである。
北大構内は、子どもの時から、遊び場だった。

北大構内は、農場やら、原生林の林やら、湿地帯やら、とにかく広い。
ここが、横断歩道に立って、その信号の色が分からないほどの吹雪きもあるから、そりゃー、本州出身の人には、驚きを越えて恐怖だろう。

増田俊也が学生だった25年ぐらい前の、北大から見ると、構内は相当に整備されて、原野の趣はなくなっているように思う。

増田の記述で、もうひとつ、興味深いのは、「内地」という表現だ。
私の親ぐらいでは、「内地」という言葉は、普通に使われていた。
母は秋田の実家へ帰ることを「内地に行く」と、言っていた。

ある時から、「内地」という言葉が、意図的ななにかが働いて、使いにくくなったように思う。

なぜだろう?

北海道以外を指すとき、「本州」というと、それでは、四国、九州、沖縄が、入っていない。
では、それらを合わせて、表現する言葉はあるんだろうか?


『VTJ前夜の中井祐樹 七帝柔道外伝』
こちらは、まさに外伝で、2冊の『七帝柔道記』と、テイストが全然、ちがって、予測はしてけれど、ページのはじめから、心に迫り来るものがある。

ネタバレと言う言葉があるけれど、私はそれを気にしたことが無い。
自分が、ここを、書きたいと思ったら、ネタバレであっても、書く。
この書では、ネタバレ云々ではなく。
そこが、書けない。

興味を抱いて頂いたなら、増田のこの著書を、読んでもらうしか無い。

増田俊也は、自らの経験を元に書いた『七帝柔道記』を初め、格闘技を素材にしたノンフィクション物を書いてきた作家だ。
しかし、増田の描写には、人間の、その人間臭さの、その匂いが感じられるのだ。
沢木耕太郎の文章に感じた、人間の匂いと同じような匂いがある。

私は、そこが、好きなのだ。


対談の章は、興味深く読んだ。

七帝柔道は、体育会系というには、あまりにも凄すぎる。

七帝柔道の前身、高専柔道について、
書いた井上靖の、この作品を読むと、この気風が、ずっと受け継がれてきたことを知る。

ところで、七帝柔道のアスリート数は全国で、約100人余りだという。
そうですよねー。
限定、旧七帝大限定柔道ですもんね。

北大。
東北大。
東大。
阪大。
名大。
京大。
九大。
以上ですから。
100人でも多いぐらいかも。 😂 😊

























 

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