ログハウスのテラスは丸太を組み合わせて造ってあり白いテーブルと白い椅子が
4脚おいてある テラスのすみには白い長椅子も置いてある
「さっきは お倒れになったのでは と少し驚きました」
「驚かせてすみません 実は私は高血圧症でして頭がくらくらとして横になったのですよ」
「ああ そうですか、でもこの山中で倒れたら心配ですね」
秀雄は他人事ではない と言う顔をした。
「私は携帯電話をいつももっているのですよ、この南木山別荘地は
山中のどこに居ても携帯が良くつながるのですよ
危ないときはこれでSOSを出します」
良子が香りの良いコーヒーを運んできた。
「いただきます イヤーおいしいですね 元気になりました」
「松井さんは山菜を採るのがお上手と伺っていますが
山菜の種類や採り方を 私に教えていただけますか」
つづく
ジャーマンの散歩
朝の陽ざしが寝室のカーテンを通して、心地よく寝息を
している男の顔を優しくなでている。暗闇の中をもがき
苦しんでいるうちに かすかな光を遠くに見た。
「うおっ」秀夫が目覚めた。「朝日だったのか!」
英雄は再び目を閉じて 日の光が顔から身体いっぱいに
入り込んでくるのを心地よく感じていた。
小さな商事会社を設立して25年 試行錯誤を繰り返しながらの
経営だった。時の政治 経済の大きな波に洗われて「もう駄目だ」
と思ってことが幾度もあった。
それでも25年 なんとかやってきたと言う自負が秀雄にはあった。
今は会社を長男の秀一に譲っている。
ログハウスの階段をトントン上がってくる足音がした。
つづく