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「Q&A年金の行方  ―基金解散と代行返上」 2

2015年11月16日 | 厚生年金基金

  五.年金が一時金に化ける

 

Q  六十六歳で厚生年金請求、基金解散となり私の年金ライフプランが破綻した!  (厚生年金四十三年、うち基金二十三年の昭和十三年二月生まれの女性)

 

Q  こんにちは。

A  お待たせいたしました。お座りください。二五六番さんですね。

Q  はい、これ受付票。

A  ありがとうございます。六十六歳ですか?  それで、どのようなご相談でしょう?

Q  実は、年金請求をしてないんですけど、どうなりますか。それに、基金が解散するとか、言うんですが……

A  えっ、待ってください。六十六歳になりましたよねぇ。年金証書、無いんですか?

Q  年金手帳は有りますけど。

A  年金請求書類の提出はしてないんですね。六〇歳になったとき、出してないんですか?

Q  出すんだったの?  ずっと働いていたので、退職したら出そうと思っていましたの。

A  そうですか。年金手帳を拝見します。年金加入記録を調べますので。

Q  何か、不都合なことがあります?

A  五年の時効というのがあるんですよ。六十六歳ですと、六〇歳で年金受給権発生で、五年経過した 一 年分が時効となり、年金が受けられなくなります。でも、ちょっと、待ってください。六〇歳のとき、給料は高かったですか?

Q  さて、どうだったでしょう。……そういえば、六〇歳から下げられたわ。

A  そうですねぇ。この記録ですと、五〇万円が二十二万円に変更されています。そうすると、五年を経過した六〇歳の時点で、在職老齢年金が一部受けられたのですが、それは時効で消滅します。

Q  受けられないの?  それはもらえないの。ふぅ~ん、なんだか、おかしな話ねぇ。

A  現行の厚生年金保険法は、請求主義の方式を取っていますので、ご本人の請求がない限り年金裁定をしません。法体系構築上、請求主義をとっていれば、時効という方式が内包されることになります。このことは、官僚の責任回避の方策とも、個人の意思尊重とも言えて、なかなか難しい問題ですよねぇ。「知らなかった」では、時効回避はできませんから、よくよく年金制度をご承知いただかなければならないのですが、では、行政サイドは「知らしめている」か、と言えばそれも限界があります。とすると、防衛的に国民サイドの意識が高いことが必要になります。もはや、日本でも依存的心情は通じなくなってきているのですねぇ。年金も、自分の年金は自分で作る時代になっていますので。

Q  よきに計らえ、の時代ではないということね。

A  ええ、同じ、厚生年金の老齢年金でも、一人一人中身が違うんですよ。その中身を作るのは、ご自身なんです。提供されているフレーム・ワークをどのように組み合わせ、ご自分の年金を作るかということです。

Q  「提供されているフレーム・ワーク」っていうのが分からないのよね。

A  そうですねぇ、年金制度が複雑多岐になってしまいましたから。例えば、年金支給開始年齢、失業保険、在職老齢年金、繰り上げ・繰り下げ、加給年金、振替加算、厚生年金基金、基金解散・代行返上、確定拠出年金、高年齢雇用継続給付金、遺族年金、障害年金、国民年金、寡婦年金、共済年金……等々、ここの窓口でもすべてを説明できる人はいないほどですから。

Q じゃあ、どうやりますの、相談を。

A  年金手帳を見せていただいて、まず、コンピューターで年金制度の加入状況を確認・把握してその方に「提供されているフレーム・ワーク」をご案内することになっています。

Q  そお。私自身の年金受給条件を示してもらえるの?

A  そういうことです。それで、今しばらく働かれるのですか。

Q  この二月で退職します。

A  そうですか。そうすると、六〇歳の時点は時効ですが、六十一歳から六十五歳までの 四 年間の在職老齢年金が清算されます。ここ(図表6.六十五歳から七〇歳までの在職老齢年金のイメージ図)の部分ですね。

 

 

 

Q  まとめてもらえるのね。

A  ええ、それに六十五歳から請求時までの在職老齢年金と基礎年金が過去分として支払われます。

Q  それじゃあ、五年分がまとめて払われるということ。

A  ええ、五年を経過した 一年だけ時効になりますが、五年分は一時金で振り込まれます。

Q  まとまったお金ねぇ。

A  ええ、六〇歳で退職していた人などでは一千万円くらい受けられる人もいます。

Q  そお。

A  それで、退職は 二 月末ですか?

Q 二十九日の末日退職。

A  そうでしたら、三月分は在老(在職老齢年金)のまま払われますが、四月以降は退職改定が行われ、将来分は偶数月十五日に終身給付が始まります。

Q  大体、分かりましたけど、厚生年金は私が死ぬまで「年金」でもらえますよね。

A  はい、「終身年金」です。死亡月までです。

Q  会社の年金は、そうとは限らないみたいなので!

A  ええ、はじめから確定年金で十五年とか一〇年とかに決まっているのもありますねぇ。

Q  突然、一時金になってしまうのもあるんでしょう。

A  会社の年金、企業年金はいままでは「適格退職年金」と「厚生年金基金」でした。適格退職年金は一般的には有期で一〇年とか十五年で終了しますが、厚生年金基金は終身が原則です。ところが、最近の基金解散や代行返上に際して終身の原則が崩れてきています。代行返上の場合は、厚生年金で終身給付されますが、基金解散の場合、終身であった加算部分とプラスアルファ部分は一時金に化けてしまうことが一般的です。基金によっては有期年金になるところもありますが。

Q  私の会社では厚生年金基金なんですけど、解散することになって年金じゃなく一時金になるみたい!  年金で老後を考えていたのが、それが出来なくなるみたい。

A  基金解散ですねぇ!

Q  年金を一時金にするって、会社の勝手に出来ますの?

A  勝手には出来ませんが、……その前に、会社の厚生年金基金は「代行型」でしょうか「加算型」ですか?

Q  さあ、どうでしょう?

A  この記録(被保険者記録回答票)ですと、基金番号●○●番の基金ですねえ。ちょっと、お待ちください。……この名簿ですと「単独・加算・Ⅱ型」のようです

ねぇ。退職金の一部が年金化されていますか?

Q  そういえば、五〇%とか言っていたみたい……。

A  そうですか、それでしたら、加算部分は一時金でも、基金の代行部分は「厚生年金基金連合会」(  http://www.pfa.or.jp/  )から終身給付されますよ。

Q  連合会から?

A  ええ。

Q  連合会って?

A  厚生年金基金を中脱退した人の年金を支払っている団体です。

Q  何処にありますの、それって。

A  平成十六年三月に移転予定で、東京港区の芝公園(TEL(代表)03―5401―8711)です。

Q  そお、ということはその代行部分というのは終身なんですね。支払者が変わるだけなの?

A  とも言い切れないんですが……、連合会の支給基準によって支払われるようになるんで、従来の基金設立メリットというのは無くなり、細かいところで相違が出ます。

Q  それでも、終身給付なのね!

A  そうですねぇ。

Q  聞きに来てよかったぁ。助かるわ。女ひとりの老後計画のし直しかと思っていたので。

A  ご主人は?

Q  独身なの。

A  そうですか、老後が心配になりますよねぇ。定期的に終身受けられる年金があれば、まずは安心ですからねぇ。よろしかったですねえ。でも、加算部分は一時金ですか?

Q  まだ、解散の案内が来ていないの。どうなるのか、わからないわ!

A  年金か一時金か、の選択肢があると思いますので……。新企業年金になるのかな……。

Q  年金にするわよ。

A  それがいいですねぇ。よくよくあなたのところの基金にお聞きになって確かめた方がいいですよ。基金により、まちまちですから。これ(図表7.解散とはなにか。)をご覧になってください。ある基金の事例ですけど……

 

 

 

 

Q  いただけますか?

A  どうぞ。それに、これ(図表8.プラスアルファ部分の清算)は代行返上基金の事例ですが、プラスアルファ部分の清算がわかりやすいのでご覧ください。三つの選択肢がここの基金はあるようです。

 

 

 

 

 

Q  それって何なの?

A  プラスアルファというのは、基金設立のとき、代行部分にその基金独自の全額会社負担による上乗せ給付をしないと、基金設立が認可されなかったもので、すべての基金にこれが付いています。

Q  それも、一時金なの?

A  ここの基金は、終身年金と五年有期年金と一時金の三つの選択肢ですねぇ。

Q  私の基金は、どうなるのかしら?

A  基金に確認してください。

Q  ええ、すぐしてみるわ!  でも、年金で払うと約束していたものをどうして一時金にしてしまうのかしら?  そんなに簡単なものなの?

A  日本のインフラは虚弱体質なんですねえ。年金の受給権保護については確立していないのが実態で、受託者責任も曖昧なままですから。日本では、ようやっと問題として浮上してきた段階なんです。これからも、数多くの愚行を繰り返しつつ、少しずつ展開していくのでしょう。その意味では、新企業年金に期待したいものですが、まだまだ多くの紆余曲折があるんでしょう。

Q  私の人生が終わっちゃうわ!

A  ほんとに、そうですねぇ。

Q  でも、全部が一時金ではないのね。少しは安心したわ。しっかり基金に聞いて見ます。

どうも、ありがとう。

A  よい、老後をお過ごしください。

Q  ハッピィ、ハッピィに行くわ!

 

 

 六.確定拠出年金のスタート

 

Q  基金が代行返上となり年金ライフプランが破綻した夫に連れ添う妻の心配!  (厚生年金四十三年、うち基金二十三年の昭和十三年二月生まれの男性の妻)

 

A  お待ちどうさまでした。お座りください。

Q  夫の年金のことで、お尋ねしたいのですけど。

A  どうぞ。委任状はお持ちになりましたか?

Q  いるの?

A  年金見込み額をご希望でしたら、必要なんですが?

Q  そうじゃなく、一般的なことをお聞きしたいの。年金の仕組みっていうのかしら、夫

婦の年金について、どうなっているのかしら。なんにも分からないので。

A  そうですか。年金の一からですね。「年金のそもそも」論ですかぁ……。

Q  ええ、そもそもから。

A  奥さんにご理解いただけるように、説明できるかなぁ。自信はないけど。

Q  簡単でいいわよ!

A  それが一番むずかしいですよ。そういえば、先日、TVで「平凡は奇跡!」と言っていた女性がおりましたが、「簡単は奇跡!」ですよ。

Q  奇跡を起こして!

A  そう、言われても、能力がなければ……。

Q  いい声、しているわよ。

A  茶化さないでくださいよ。う~ん、どこからはじめましょうか!  日本の年金制度から、お話ししましょうか。

Q  しくみ?

A  ええ、日本の年金は、大きく分けて「公的年金」と「私的年金」に分けられます。公的年金は、日本国内に住んでいる二〇歳以上六〇歳未満の人が必ず入る国民年金、会社に勤めている人が入る厚生年金、役所に勤める人が入る共済年金に大別されます。

Q  私は国民年金で、夫は会社へ行っているから厚生年金なのね。

A  ええ、そうであれば奥さんは三号被保険者で国民年金ですね。手続きはしてありますね?

Q  あるわ!  夫の給与明細に「厚生年金基金掛金」というのが引かれているけど?

A  分かりました。それを次にお話します。私的年金には会社がしている企業年金と個人で加入する個人年金があります。企業年金は、今まで適格退職年金と厚生年金基金がありました。ご主人が給料控除されているのは、その厚生年金基金の掛金で、ご主人は厚生年金と厚生年金基金に加入しているということになります。

Q  年金、年金と、次から次と出てくるのねぇ。それで、年金って、いつからもらえるの。

A  ちょっと、待ってください。その前に、年金が受けられる受給資格期間というのがありますので。

Q  えっ、入っていれば、年齢がくればもらえるんじやないの?

A  ええ、国民年金だと二十五年、厚生年金や共済年金では原則二〇年かけてないと年金にはなりません。特例や特別な取り扱いが無数にありますけど。その上で、国民年金であれば、原則六十五歳から。厚生年金や共済では、原則六〇歳からです。年金開始年齢についても特例や特別な取り扱いが無数にあります。個々人によってどれが適用になるかはまちまちです。一般論での判断は危険です。一人一人の個別のご相談が必要です。

Q  面倒なのねぇ。どうして、そうなったのかしら。

A  奥さんも、そういう質問をされますか?  制度ができて、国民年金でも四〇年、厚生年金では六〇年も経過していて、その間に、社会情勢は大きく変貌してしまい、都度さんざんいじくり回されて、複雑怪奇な制度になってしまったのです。ここは、いっそすべてをご破算にしてシンプルな制度にすべきというご意見もあるようです。それとは別に、時代にアン・マッチな制度はもはや機能しないと考える人もいます。時代は猛スピードで先を行っているのに、人の考え方は依然「世代間扶養」というオールド・

ファッションのままというわけです。「賦課方式」は既に機能しなくなっているのです。

Q  私も、そう思うわ!  サッチャーみたいにはできないのかしら?

A  年金にサッチャーですか!  それは面白いですねぇ。

Q  「合意に基づく政治ではなく、信念に基づく政治」よ。最近、『市場対国家』という本を読んだばかりなの。いつまでも、合意なんてできっこないんですから。合意って、既得権益集団のフレーズでしょ。愚図愚図していたら、日本沈没だわ。そうそう、夫の会社の厚生年金基金は代行返上するとか、したとか、言ってたわ!  新しく確定拠出年金とかいうのを始めるそうなの。

A  確定拠出年金ですか?  

Q  ここではないのかしら。

A  ええ、それは公的年金制度に関係しない純然たる企業年金ですから、会社にお尋ねいただくべきものだと思います。一般的に、ここの社会保険事務所の年金相談では回答できません。でも、たまたま私は、元は厚生年金基金の職員でしたから、多少、承知しています。最近、基金解散や代行返上に関して質問が多くて、先日も訊かれたんですけど、オフレコでよろしかったら、どうぞ。

Q  なんでもいいわ。今度、新しく資産運用をするそうなの。資産運用よ。夫の老後プランが突然変わるのよ。

A  ええ、それで。

Q  どうすればいいの。

A  会社から、ご案内がないですか?

Q  紙を一枚、夫が持って来たわ!

A  一枚ですか。

Q  ええ。それこそ、「しくみ」の説明よ。

A  掛金をどう拠出するとか、どういう商品で運用するとかの……。これ(図表9.確定給付型年金(DB)と確定拠出型年金(DC)の相違点)をまずご覧ください。今までの厚生年金基金は、「確定給付型年金」で、会社が将来の年金を保証していたんですけど、日本経済のここ一〇年の落ち込みによって、この保証ができなくなってきて一斉に投げ出し始めたのですよね。ていたらくな男どもというわけです。それが、代行返上や基金解散ですね。

 

 

 

 

 

Q  夫の会社もそうなのね。

A  ご主人が、ということではないですけど……。

Q  どうしてそうなったのかしら?

A  「日本経済のここ一〇年の落ち込み」は、いろいろ言われていますけど、世界がグローバル化しているのに、日本が鎖国化政策を採り続けているからでしょう。

Q  鎖国は江戸の時代じゃなかった。

A  ええ。ですけど、政府や企業の政策推進者の頭の構造は統制・計画経済のままなんですねぇ。国民はすっかり飼い馴らされていますし、国民は、政府をうるさいと思わないですからねぇ。一部には、日本ほど成功した社会主義国家はないとも言われています。

Q  サッチャーの出番ね!

A  年金の世界でも、賦課方式が世代間扶養という美名のもとに守られていますし、「数理」という統制・計画経済の手法がいまだに幅を利かせています。

Q  そおなの?

A  その点、新たに始まる確定拠出年金は「数理」は要らないですし、日本で始めて積立方式が試験されることになります。日本の公的年金も、これへ向かって大きくターンすべきなんでしょう。サッチャーのように、これを信念とする政治家の輩出が必要だと思います。

A  「確定拠出年金」の考え方は、今までの考え方とは違うのね。

Q  ええ、実験が始まったということでしょう。新しい考え方の。

A  具体的に、どうするの。資産運用を。今までは、住宅ローンの返済や、生命保険や自動車保険の契約、それに郵便貯金が少しという程度で、なんにも資産運用などしたことがないのに。

A  はじめ数年は資産も積み上がっていないでしょうから、確定利付商品ですか。

Q  定期預金よね。

A  おいおい、投資信託とか債券とか株式ということになりますか。

Q  そんなのぜんぜん知らないわ!

A  少しずつ、勉強するしかないでしょうねぇ。逃げるわけにはいかないですから。賢くならないと、生き馬の目を抜かれますよ、業者は虎視眈々と狙っていますから。美味いこと言って法外な手数料をとる業者もあれば、わけのわからない仕組み債とか、高利保証をちらつかせるカタカナ商品などを売りつけられます。

Q  美味い話は無いと、思っていた方がいいのね。

A  日本の金融界は、過去に散々個人顧客をドブ客扱いしてきましたからねぇ。資産運用文化では後進国ですから。インフラがきちんと整備されていないんですよねぇ。大会社が白昼堂々と法律違反なことをやってきましたし、政府はそれを取り仕切ることもできなかったのですから。

Q  そう……。

A  「受託者責任」という言葉をご存知でしょうか?

Q  いいえ。

A  日本の金融界では、いま、この言葉を使うのは気恥ずかしさが先立ちます。書生っぽいと、馬鹿にされるのです。この言葉が日本の常識になるには、まだまだ時間がかかることでしょう。でも、一歩一歩、進めるしかないでしょう。

Q  気の遠くなるような話なのね。

A  ええ、戦後五〇年政府も企業も、組織的に「人様のお金」を「自分の金」扱いして掠め取ってきましたからねぇ。

Q  そうなの!

A  国民一人一人の認識の覚醒が必要ですよね。初めに、「まず、食わなきゃあ」ありきで、日本人は哲学をしてこなかったのですから。食うに終われて哲学が無かったんでしょう。要するに、賢くならなきゃアと言うわけです。

Q  まずは、お勉強ということねぇ。

A  ええ、そうなりますか。だいぶ、説教じみちゃいましたねぇ。ごめんなさい。

Q  どういたしまして、こんな話、初めて聞いたわ!

A  ここで聞いたとは、オフレコにしてください。私は、民間人ですから。

Q  お役人のセリフではないわよねぇ。

A  落ちは、やはり、サッチャーになりますか!

Q  そうみたい。もう一度、本、読み直してみるわ。どうも、ありがとう。

A  どういたしまして、ご主人に、よろしくお伝えください。

 

 

 

 七.解散と返上の問い合わせ先

 

Q  人生いろいろあって、来月六〇歳の定年(昭和二〇年生まれの男性)を迎えることになった。転職を繰り返してきたが、年金が受けられるか心配。  (年金手帳等が幾つかあるが、どうなっているのかわからない)

 

Q  こんちは。

A  どうぞ、お待たせいたしました。

Q  実は、人生いろいろあって、来月六〇歳の定年(昭和二〇年生まれの男性)を迎えることになったんですけど、転職を繰り返してきたので、年金が受けられるか心配なんだけど。

A  そうですか、はじめに年金手帳を見せてください。ありがとうございます。

Q  手帳のほかにも、いろいろあるんだけども……。

A  年金関係のものは全部見せてください。

Q  これは加入員証でしょう。これは厚生年金基金連合会の葉書。これが基礎年金番号通知書。これは基金解散の知らせ。被保険者証。三 枚あるねぇ。これは失業保険かな。

A  いろいろありますねぇ。よく失くしませんでしたねぇ。

Q  そお、苦労がしのばれるでしょう。

A  ええ、お察しいたします。

Q  これで、年金は受けられるかなぁ。

A  確認しますので、ちょっと待ってください。

Q  一 社に腰が落ち着かなくてね……。

A  そのようですね。生年月日が違っていたなんてことはありませんでしたか?  それにお名前が変わったことはないですね。下の名前は間違えられることはありませんでしたか?  

Q  そういうことはなかったねぇ。

A  そうですか。

Q   あったら?  

A  ええ、それで検索しないと記録が出てこないんです。

Q  そお……。

A  会社は、全部……で、七つですかねぇ。

Q  さて、何社だったろう。はっきり覚えていないなぁ。

A  学生時代にアルバイトなんかしたことはないですか?  

Q  幾つかしたけど、年金は?  

A  アの付く会社名は記憶にないですか?  

Q  アの付く会社……、朝日通信だ。

A  正解です。六ヶ月厚生年金の加入がありますねぇ。

Q  そお、すごいねぇ。二〇歳ごろのでしょう。何年前よ。

A  四〇年前ですか。一発ですねぇ。これも全部、五 番号の統合をしますから。

Q  ひとつの番号になるんだ。

A  ええ、印鑑ありますか。これに名前と住所を書いて捺印してください。

Q  それで、全部で何年年金に加入したことになるのかな?  

A  ええっと、待ってください。四五三ヶ月ですから三十八年くらいでしょうか。

Q  そお。だったら年金は受けられるんだ!

A  ええ、OKですよ、ただ……。

Q  ただ……、何?

A  年金の問合せ先、相談・請求先が幾つにもなりますねぇ。

Q  どういうこと?  

A  アルバイトとA社.とD社は基金なしですから厚生年金の中で一緒でいいんですが、他は全部基金がありますねぇ。B社は厚生年金がなかったんですよね。C社のこの基金の分は企業年金連合会(厚生年金基金連合会改め)、E社の基金解散分も連合会、F社の基金分はその会社の基金、G社の代行返上は国の厚生年金と、それぞれ問合せ先が違うのですよ。

Q  ええ、そうなんだ。面倒だねぇ。

A  年金もいろいろですねぇ。でも、一度手続きすれば、後は終身振り込まれますから。

現況届けだけは年 一 回年金支払者に出す必要がありますけど。

Q  私の人生もいろいろだったけど、私の年金もいろいろなんだ。

A  そうなりますねエ。今までのバイタリティを年金にもだしていただかなければなりませんね。

Q  そうみたいだねぇ。

A  ご事情がお分かりになったと思いますので、あとは簡単ですよ。

Q  それぞれに問い合わせればいいってことだね。

A  そういうことです。

Q  そお、大変ありがとう、助かったよ。

A  どういたしまして。疑問が出ましたら、また、お出かけください。

Q  そうします。ありがとう。

A  雨になったようですから、気をつけてお帰りください。

 

(続きます)

 


 

 

 

 


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