Q 厚生年金基金の決算で時価会計採用と聞いたが、どのような問題が発生するのだろう。
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Q もう、終わりですか?
A どうぞ、機械を使わない問題でしたら、かまいませんですけど。
Q 年金の請求は済んでいるんだが、ちょっと、聞きたいことがあってきたんだが・・・・・・・。
A お座りになってください。どういうことでしょうか?
Q 実は、会社で営業の役員をやっていたのだが、年金とか、会計とか、厚生年金基金についてまったく知らないんだ。いまさら会社に聞くのは気が引けるので、ここへ聞きにきたわけ。
A そうですか、この窓口は公的年金の年金請求や年金受給が中心の年金相談ですから、年金制度の会計とか財政の話になりますと、一般論程度しかお話できませんけど。
Q それで、結構。
A で、どういうことですか?
Q 基金で時価会計を採用するとか聞いたが、会社ではまだだったよね。
A 会社はまだですね。でも、近々そういうことになるようですねぇ。
Q それで、基金はもう時価会計になったのかな。
A ええ、なっていますよ。
Q そうすると、どういうことになるのだろう。
A はい、時価会計ということは、保有資産の評価をその時点の時価で評価するということですから、その評価額が直接決算計上されることになります。
Q 時価って言うと・・・・・・・。
A はい、会社経理で簿価というのがありますよねぇ。
Q 買ったときの値段というやつだね。
A ええ、それを現時点で評価して決算計上することを時価会計といいます。
Q そお。評価の方法って決まっているのかな。
A いえ、それがいろいろ問題が有りまして定まっていないのもありますね。不動産、株式、債券、投資信託、外株、ヘッジファンドなどいろいろありますから。基金の資産運用も多岐にわたってきています。
Q そお。基金でそんな運用もしているんだ。
A ええ、資産配分とか分散投資とかリスク管理とかを科学的に計画して、グローバルな運用環境に基金スタッフは立ち向かっています。その点、基金に蓄積された資産運用ノウハウは、日本経済にとって初めてのことでもあるし、貴重なものだと思います。
Q そお。
A ええ、ですから、こういう場面で時価評価になると、いっそう保有資産のリスク管理を徹底しなければならないと思います。
Q なるほど。リスク管理?
A 基金でも、始まったばかりで試行錯誤の最中です。
Q そお。基金の仕事って面倒なんだねえ。
A そうですけど、皆さんの大切な老後資金ですから、誰かがやらなければならないですよね。フットライトはあたりませんけどね。
Q がんばってもらわなければならないねぇ。
A そういうことになります。
ただ、現在の基金会計のフレーム・ワークでは、資産の保全は基金全体の勘定として経理されます。
Q ということは?
A 個人資産のセキュリティの面では不十分なんです。実は、会社役員等の恣意が入りやすい点がクリアーされていません。
Q というと、現実にそういうことが行われているというのかな。経理とか人事の役員だろう。
A ええ。会社都合という美名に隠れて粛々と行われています。年金というものに対する認識に欠ける役員が多いというより、そういう認識がまだ日本では形成されていないといったほうが正しいのかも知れません。
Q そう。
A 基金の年金も、まだ個人勘定になっていませんので、どんぶり勘定になりやすいんです。つまり、資産保全の点では、欠けるところがあるわけです。
Q そう。時価会計ですべて解決というわけではないのか。
A ええ、ようやっと、スタート台に立ったところです。基金がフロント・ランナーになって日本経済の実験が始まったところです。
Q そう、大分理解できました。
A 少しは、お分かりいただけたでしょうか。
Q 早速、本を読んで勉強してみるよ。
A それがよろしいですねぇ。
Q ありがとう。ちょっと、遅くなってごめんなさいよ。
A どういたしまして。
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