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年金=「人様のお金」→第4章 厚生年金基金経営上の諸問題(3)代行の金縛り④

2008年10月28日 | 厚生年金基金


『人様のお金』
Other People‘s Money
厚生年金基金って、何んだ?

平成12年8月脱稿
高野 義博

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第4章 厚生年金基金経営上の諸問題

(3)代行の金縛り

④代行故の官の介入
厚生年金本体との整合性維持で、厚生年金基金制度が免除保険料率等の凍結などといいます<駝鳥の保身>のような末期症状を呈する事態に立ち至りましたのは悲しむべき事態の成立というより、穴中の頭部の外はほとんど全身を危険に晒したまま内外条件の整備を待ちつつ制度の本来の姿へ展開する一プロセスなのだと見る方が客観妥当性は高いのではないでしょうか。つまり、この凍結措置は慶事なのです。とは言え、内外条件の点検・見直しは不可欠ですが。

厚生年金と退職金の調整という代行方式の中核は、30年経過してどうなっているのでしょうか。<調整機能>は達成されているでしょうか。本来、制度発足の主旨からすれば代行型は皆無で、全基金が加算型で、それも退職金は100%移行されていてもよいはずですが、事実はそうなっていないようです。単独・連合基金でも代行型のままの基金も多く、退職金の移行も大半(年金給付の理論値プラスアルファ40%~50%に集約)は一部移行留まりです。少数ながら、利に聡く、財務内容の善い企業は退職金を100%移行し企業財務に退職金勘定がない状態を作り出し財務の効率性を高め、<調整機能>を達成しているところもあります。更に、国際会計基準の導入が間近になり、退職金を100%移行しているか否かで退職給付債務のPBO不足金の格差を広げ、財務体質、格付けを改善しているところもあります。

一方、民間活力の活用で制度発足しました基金業務の<民活度>は高まったのでしょうか。
これも、行政サイドの法令・通知・指導という体系に全面的にからめ取られ、気がついてみれば、厚生年金基金制度は「死に体」となっていたのです。それは、基金が日本の社会・経済構造の軋みの典型になったという意味なのではありますが。

 というのも、超少子・超高齢化のインパクト、国の統制・計画経済方式による立法・司法・行政の疑義多発、政府の金融・財政政策の行き詰まり、本邦金融制度の後進性露呈、社会保障の機能頓挫、企業活動のグロ-バル化に伴う構造改革、官離れを始めた国民意識の刷新等々、諸々の軋みが総じて基金問題に噴き上がってきているからであります。

この間、基金の現場では様々な場面、例えば免除料率の改訂、給付改善、業務の機械化、代議員会等の運営、福祉施設事業の展開等々の場面で行政サイドとの折衝経験は蓄積されてきましたが、行政判断のブラツクボックスは透明化されず、この辺り、あの線まで、こういう組み合わせであれば等という疑義申立ての類推・想定のレベルでしか行政を動かし得ず、事務局レベルで多少の業務改善(代行型から加算型への移行、業務委託Ⅱ型からⅠA型への移行、退職金の基金への一部移行、数理業務の指定法人化、総幹事離れの達成等)は行えたものの、大半は<社会保険行政>の中に取り押さえられたままなのが実態でした。

一方、厚生省の審議会方式や厚生年金基金連合会等の委員会組織を通じての熱心・執拗な改善申立て、要望書の上申等の方式で実現されたものは、資産運用の規制撤廃インフラ整備等の面で多大なノウハウの蓄積・経験を果たしましたが、基金制度そのものの前提を廃棄するような制度改革の進展がないまま推移してきてしまったのも事実です。そのほかに、圧力団体陳情方式や政治献金方式、接待攻勢方式等、様々な方式が試されてきたのがこの30年の経験です。


このように給付額削減が容認されるのは、わが国で年金受給権という概念が明示
的に確立されていないからだろう。今回の削減容認に際しては、その論拠の一つと
して、わが国の企業年金は退職金から移行されたものだという主張がなされた。退
職金は報奨的な性格を有しているから、企業は過度な負担までして支払わなくてよ
いというのである。しかるに退職金の本来的な性格を鑑みると、それは過去の労働
への対価であり賃金の繰延べとして考えるのが妥当であろう。

浅野・金子編著『企業年金ビッグバン』
青山 護 「第7章 課題と展望」


しかし、社会保険制度の一翼と位置付けられた代行制度に対する裁量行政そのものの妥当性はあらゆる場面を通じて間接的に再々問題にされてはいましたが、直接問い質されることがなかったのも事実でしょう。それが、社会・経済の軋みの高まりにつれて誰の目にも裁量行政の機能不全が明らかになってきたのです。数年前から厚生省も自ら行政の隠れ蓑として使われていたと噂の年金審議会を廃止し<裁量行政から事後監視型行政>への転換を表明しつつあるようです。こういう動きは、厚生省のみのことではなく、総務庁を始め大蔵省、通産省等にもみられる行政サイドの一般的な現象となってきたようです。

要するに、最近の規制緩和により「民活度」は様相を一変してきました面もありますが、代行ゆえの厚生年金本体との整合性維持の介入も極まり、凍結の事態になったということでありましょう。


フリ-ドマン 私たちはよく、一国社会を政治的機構を通じて組織化すべきか、
それとも経済機構を通じてか、といったことを抽象的に論じます。あるいは命令経
済ないしは計画経済対交換経済、といった抽象的な次元で議論します。しかし、事
実そのものに即して調べてみれば、命令機構にその大半を依存して実際上組織化で
きた社会なんぞ、人類史上に一つもありません。そんなことをするのには、人びと
はあまりにも多様であり、問題があまりにも複雑だからです。

西山千明編著『M.フリ-ドマンの思想』








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●ここまで、お読みいただきまして、誠にありがとうございました。

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