ふと、Aさんの脳裏にどこまでも広く続く白い草原が浮かんだ
大人の腰まである細い草が一面に生え、風で一方向になびいている
…そして、その真ん中の小径を草を分け進むように、幼い白い男の子が元気よくにこにこして歩いて来た
(気の世界では、たいてい全てが白く見える)
その子は草の根元でとても敏捷にくるっと前転し、又歩いて進んだ
後ろから、
「メッテッヤ……メッテッヤ……」
と、彼の名を呼ぶ声がする
少し離れて広目天、その後から増長天が歩いてついて来ていた
2人は5才の弥勒少年(メッテッヤは方言名)の養育係兼、訓練係なのだ
その内メッテッヤは野中に一本だけ立つ、2メートル位の高さの、あまり葉のない木の所まで来ると、すばしこくよじ登った
追いついた広目天は、彼を抱き下ろして腕に抱っこした
広目天は四角い顔で肩幅の広い、ガッチリした体格で温厚だった
そして、優しくメッテッヤに話しかけていた
彼はそばにいる面長で黒い肌、背のスラリとした増長天を振り向くと、
「おい、増長天。お前も抱っこしてみるか? かわいいぞ」
すると増長天は照れくさそうな笑みを浮かべ、
「…いや、俺は遠慮しておくよ…」
と言った
(増長天は子供が苦手、という設定なのだ)
広目天はメッテッヤと共に来た道を帰り、その後からまた増長天がついて行った……
Aさんが初めて思い出した兜率天の光景は、このようなものだった
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