続きに参ります
…私はすっくと (3人の側から)立ち上がり、向こうを見ますと、ユダが先頭を切ってやって来ました
後から大勢の人々が園の始めを歩いて通り過ぎたので、そこに寝ていた私の他の8人の仲間達は、ようやく目を覚まし、訳のわからぬまま何事かと半身を起こしてあたりを見回していました
「先生、」
ユダはわざと快活に言いながら早足で私に接近して来ました
彼の魂は動揺し、愛と憎しみの狭間でうごめく蛇のようでした
まるで幽鬼のようで、身から出る幻の白い炎がぐらぐら揺れ、顔は青ざめていました
そう、そうでなくちゃいけない、苦しみもだえる蛇のようでなくては、ユダ、お前の使命を果たすことはできないのだよ、と私は心の中でつぶやきました
それからユダは私を抱擁し、
「…先生、お元気ですか」
と儀礼的に言って死を意味する冷たい接吻をしました
…それが本当の死になるのか、私にはわかりかねましたけれど
なぜなら、神は非常に大きな観点から私を操っておられたので、人類に今後何世紀も影響を与えるために、ある一筋のシナリオを描いておられたからです
…わたしはそれに従って、上手に演じなければならなかった
決して見破られないように、誰にも疑われないように、一連の役を成し遂げねばならなかったのです
ただ一人、私の心を打ち明けた腹心の部下、ヨハネを除いては
…ヨハネについては、以前に申し述べたように、私は皆に隠れて彼を時折指導し、気の応用力をつけてやり、テレパシー等も会得させておきました
…ですから、彼は私の心の指示通りに動くことができたのです
私はユダを見上げ、
「友よ 何をしに来たのかね」
と問いました
彼ははっとして私を見、少し後ずさると、にらんでぶるぶると震えました
唇をかみしめて…
すると、彼のすぐ後ろにいた群衆の先頭集団の何人かが一斉に私に飛びかかりました
「何をする!」
と言って起きていたペテロが剣を抜きざま、その者の一人の耳を切り落としました
「やめなさい」
私は左手を斜めに下ろして、後ろにいる彼を制しました
「このように、剣を使う者は剣によって成敗される
それは、神の望む所ではない」
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