「全部、私の斧では有りません!!」と’きんの’が答えると、’多厳の滝’の主は、
「流石ですね。貴方の言う通りです。この中に’きんの’さんの普通の’鉄の斧’は
有りません。この普通の’鉄の斧’は、貴方の家のお爺さんが、若い頃に、この滝に
落とした斧です。そして、その時も貴方と同じ質問をしました。その返って来た答えは、
「それ全~部ぅ、自分の落とした斧です~!!」
「’きんの’さん、貴方と真逆の答えでした。その時は、余りに図々しくて、もう呆れ
てしまい、斧は残して、お爺さんは家まで吹き飛ばして終わりにしました。さあ、
’きんの’さん、この滝に落とした、貴方が手入れを怠らず、大切に使っていた斧を
お返しします。他の斧なども、差し上げます。斧はどれも、1回だけ特殊な力を
発揮します。’その時が来れば’、ですが役立つ事も有るでしょう。」
’きんの’は、話を聞いて驚きながらも、’多厳の滝’の主の雰囲気が変わったと思っていると、
最後はやはり、
「’きんの’さん、此処は’多厳の滝’だけに、此の事はタゴン(多言)、タキ(無き)様に、、何て!」
と言うと、笑顔で姿を消しました。
何時の間にか、お囃子も聞こえなくなり、’きんの’の前には、1回だけ特殊な力を発揮
する事もある、’きんの’とお爺さんの斧、金と銀の4本の斧と装飾神具’ドラ、好いもん’。
そして、食べられた筈の、海苔を巻いたオニギリが残されていました。
つづく。