去年の夏。
一匹の猫が、会社に姿を現す様になりました。
首輪を付けていませんでしたが、綺麗なキジトラでした。
サザン好きの同僚が、その曲名から、勝手に’クラウディア’と名付けて
呼んでいるうちに、何時の間にか、皆もそう呼ぶ様になっていました。
それから一年。
’クラウディア’は、会社のマスコットになり、何処に居ても、怒られる事は有りませんでした。
そして、12月になったばかりの或る日。
給湯室に居た’クラウディア'は、熱いお茶の入っていた、茶碗に触れて仕舞い驚いて、
それを下に落として割ってしまいました。其の儘、逃げる様に飛び出して行った
’クラウディア’は、姿を見せなくなりました。
給湯室には、怪我をしたのか血の跡が点々と、逃げ出した方に向かって残っていました。
基本的に残業は無い会社なのですが、どうしても年末年始休暇前に、
纏める仕事が入り、急遽三日間、交替で夜勤勤務をする事になりました。
三日目の当番になり出社すると、前日迄の夜勤をしていた一人が、
話し掛けて来ました。
’破’に続く。