話題を集めるだろう内部とは変わって外部について、他の人はどうゆう印象を持つのだろうか。。
内部で演出されている「街路」感を、残念ながら、表参道に面した部分には感じられない。本当は一番肝心なのだと思うのに。。
表参道側の1階部分には店舗があるけれど、内部を体験すると、その裏側が「表」に面しているような気になる。3層分の高さのガラスのカーテンウォールが約250m連続するその外観は、正直、、つまらない。
同潤会アパートの時、1階はもちろん、2階3階にも店舗やギャラリーがあって、ケヤキ並木と、ツタがからまりくすんだアパートにかこまれた黒っぽい空間に、それぞれの店舗のあかりやディスプレーが彩りを与え、歩いているだけで楽しい空間だった。ヒルズにはそんなものは感じられない。長い距離を1つのデザインで一直線に作ってしまったことは、明らかに間違いだ。建物の内部に「表」を作ってしまった結果、本来の『おもて』である表参道側が「裏」になってしまったからだ。
「街の求心力」としての建物としては成功するのかもしれない。でも「街を彩る」建物としては残念ながら良くない。
この敷地は細長い敷地で、表参道とは反対にも細い道がある。そちら側に行ってヒルズの建物を見ると、こちらは、完全に建物の裏の顔になり、コンクリートの外壁・・というより土木の擁壁のようである。ただ、斜線の関係で圧迫感は少ない。段々にセットバックしていくことで出来た屋上部分に、安藤さんが意識している植栽がほどこされているのが救いだ。しかし、緑あふれていた同潤会アパートの時には、アパートの裏が面していたとは言え、建物の古さによる情緒感や植物による柔らさで、それなりの『路地』感があったが、今は無機質感があるだけ・・いや、寂しいのだ。
今までメインだった古い街道が、バイパスが出来たために寂しくなった・・
そうゆう感じがした。
もともとメインではない道だったが、青山アパートがあった時は、その敷地内の路地を通って人が行き来していたし、建物の間を通して、表参道側の気配をなんとなく感じる事ができたし、かといってそのにぎやかさが直接伝わるわけではなかった。
青山アパート全体が、表参道とその裏の住宅地とのフィルター(変換装置)だった。
住人の人にとってはよくなかったのかもしれないけれど・・街として、ふくらみのある一帯で、複雑で、迷路的で、面白く、楽しい場所だった。
郷愁・・・・
確かにそうかもしれない。
でも、、、
街として面白くなくなった事は確かだ。。