”カオナシ”というのは、スタジオジブリの映画「千と千尋の神隠し」に出てくる”謎の男”です。
主人公の千(せん=千尋)に好意を寄せ、気を引こうと「強く力のある者」を装います。回りの者達はそれを見てこびへつらいますが、それでも 千(せん)の気を引く事ができず、業を煮やしたカオナシは手当たり次第に回りの者を飲み込み、どんどん肥大化していきます。元々の”カオナシ”がなんであるのかさえわからなくってしまいます。
最後は全てを吐き出し元の”カオナシ”に戻りますが、素の”カオナシ”はとてもおとなしく消えそうなほどの存在で、旅に出る千(せん)に寄り添い静かに従っていきました。
参照
千と千尋の神隠しのカオナシの正体は?宮崎監督が暴露した存在の意味も解説!
その”カオナシ”のイメージが、現在の住宅に使われる建材とだぶってしまいました。
建材は、メーカーの企画部?が立案し、様々な部署が協議し形状や仕様が決まり、営業部のデーターを取り込み、「売れる」商品に仕上がっていくのでしょう。(*現実の商品化までの道筋はこうなのかはわかりませんが)
しかし、売れる事が目的の商品は、元々のあるべき姿を失い、様々な欲望を上塗りされ「オレが」「オレが」と自己主張で膨れ上がったものになっています。
写真の部屋は、畳の部屋なのですが、入口の引戸は「洋室仕様」のものです。
畳があってもハウスメーカーは「和室」と表現していないのですが、本来洋室なのに、「和室が欲しい」というお客の要望に対して、フローリングの一部を畳に置き換えただけなのですから、「和室」と言わないのも、もっともな話しです。
そんな部屋の中で畳もまた、残ったフローリングや洋室仕様の引戸に負けじと 自己主張 をしはじめます。
建材で作られる家は、どれもこれも自己主張し「自分が一番いいんだ」を競い合っているようで、家は、肥大化していった”カオナシ”のように思えてしまいます。
そんな家で人は、穏やかに暮らす事ができるのでしょうか?
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写真の部屋をリフォームしました。
床は、建材のフローリンも畳もなくし、本物の木(杉板)を張りました。引戸は、白い壁と合わせ、閉じている時も特に主張する事もなく、開けば、右の壁に引きこまれ存在を隠します。
それぞれの要素は、特に自己主張する事はありません。まるで、元に戻った”素のカオナシ”のようです。
存在はするけれど、決して目立つ事も、騒ぎ立てる事もせず、住む人の暮らしに寄り添います。
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あなたの家は、肥大化したカオナシ達であふれていませんか?
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