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non design but a design ~ センチメンタルじゃないもの

( インゲヤード・ローマン展 展示場風景 )


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センチメンタルなものが好きではないのです。

「 インゲヤード・ローマン展  」 より


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私が好きなのは産業とクラフトとの間で、自分はその境界にいると思っています。

それに、センチメンタルなものが好きではないのです。

手作り感がそんなにないほうがいいというか。


どうしてセンチメンタルじゃないものを作る必要があるのかを考えた時、ボウルとかお皿に何も隠すことがないことが大切だと思うのです。

だって人生って複雑なものでしょ、だから自分が昼間に制作している時に それを持ち込んだりできません。疑問や自分の中にあるものを介入させられないのです。 アーティストには決してなれなかったですね 。自分の感情や自身をさらけ出すようなことはできないのです。私は日用品を作りたいわけで、それを人々は常にそばに置いてみる必要はないですよね。例えばすごく芸術的なものを作って、置いておいたら、毎朝それを見るたびに「ああ」と思うわけです。 私の作るものは無名(アノニマス)に近いと思っていてプロポーションとかもっと細かいことが考えられているわけで、でもそれをあえて見たり知ったりする必要はないのです 。感じるものなので。

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私より先に『インゲヤード・ローマン展』に行かれた、マンションリノベーション・Kinoco の施主nさんからいただいたメールに、展示で使われていたものを撮った写真が添付されていました。
 
その写真にあったのが、この文です。
 
インゲヤード・ローマンさんの物づくりに対する ”姿勢”・・・”理念”
もっと言えば ”人生観” なのだと思います。
 
展示のひとつである「インゲヤード・ローマンさんの製作や日常のドキュメンタリー映像」を訳したもの・・・(?)
 
 
私なりにちょっと意訳します。
 
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どうしてセンチメンタルじゃないものを作る必要があるのか」というと
 
ボウルとかお皿」はその機能が重要であって、それに”作品性””作家性”は必要ないから。
 
製作にあたり「疑問や自分の中にあるもの」つまりその日の個人的な感情を「介入」(反映)してはいけない。
 
だから 「(感情を表現する)アーティストには決してなれなかった
 
私は日用品を作りたいわけで、・・・毎朝それを見るたびに「ああ」と思う」芸術的なものではなく、「 私の作るものは無名(アノニマス)に近いと思っていて、プロポーションとか」最新の注意をもって設計しているけれど「でもそれをあえて見たり知ったりする必要はないのです 。感じるものなので。
 
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 機能主義的で、禁欲的で、理想主義的な・・・
 
でもその先にあるのは、ある種、宗教的な意味での「平穏」とか「快楽」なのではないかなというふうに感じます。
 
 
( 国立近代美術館工芸館・2階ホールから階段方向をみる )
 
 
きっと一番難しいのは、その「もの」の、一番「普通」な形を作る事だと思う。
 
これは、ガラス作家の 辻 和美 さんの言葉です。
 
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作家というものは、自分のオリジナルを作る人。
でも、きっと一番難しいのは、その「もの」の、一番「普通」な形を作る事だと思う
ガラスのコップ、茶わん、皿、はし、机、イス、服・・・・

ひとがモノを選択する場合、少なからず「名前」が基準の一つになる。
作家、デザイナーや会社。。。

でも、それをいっさいはずしたとき
最後は選ぶひとの感覚だけ。。

たくさんのものの中から
「なんだかいいな」って
手にしてくれる・・・

家に帰って、それを見るたび それを使うたび
「なんだかいいな」って思ってくれる

作り手にとっては最高の喜びだし
最高に「いいもの」を作った事になると思う。

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*2007年に書いたブログでこの事を書きました。⇒ つくりたいもの



何と(誰と)共感できるか


ふたりとも 「 同じ事を言ってる 」 と言っては失礼かもしれませんが、方向性は共通しています。

 

・デザイナー

・作家

・アーティスト

・職人  

 

など、物作りに関わる人には、様々な立場や考え方があります。

それぞれの 生き方 であり、自分の「生」の欲求や表現 です。

優劣も善し悪しもありません。

 

私達それぞれの 生き方 考え方 が 何と(誰と)共感できるか。。

 

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私は、本当に欲しいものは、辻さんの言うように、シンプルな”普通”の物です。

でもそれは、

インゲヤード・ローマンさんのように徹底的に「意図的に感じる部分をなくそう」とした先にある”その人”つまりデザイナーのフィルターを通して生れた「美しい」シンプルな物 だと思います。

 

 
 

普通の家

 
では自分でどんなものを作ろうとしているのか・・?
 
自分のブログを振りかえって読んでみました。
 
ずっと前からこんな事を言ってます。
 
 
普通の家 (2006)
 
 
 
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試行錯誤はしています。迷走もしてるかもしれません。
 
2000年代半ばから、、住宅において、作家性 とか 意図的な何か とか 表現のためのデザイン とか それが色濃く出ているのは、自分は違うな という事が年々強くなってきました。
 
今、「シンプル」という言葉を使っていますが、インゲヤード・ローマンさんと同じ考え方の部分もあります。
ただ、「センチメンタルじゃないものをつくる」とは言い切れない。。
 
むしろ、人の「センチメンタル」な部分を映し出せるよう、シンプルでありたい。。
 
「人間だもの・・」 複雑ですよ。完璧ではないですよ。
 
だから 家 は、「”単純(シンプル)”で、受け入れられる”余白”」 であるのがいいな、と思います。
 
 
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