幸せの１コマ

昨日は関西地方は雨。
最近、ずっと歩いて通勤してる。
帰り道は急がないので色々冒険しながらの帰路。

閑静な住宅街があって以前から国産ビンテージカーが
停まっているのを知っていた。
そのクルマが丁度ガレージから出てくるところだった。
家の雰囲気といい車種といい、ご老人の所有物だという
のは容易に想像できたが、全くその通りだった。
白髪のおじいさんが車をガレージから出して
ゆっくりとオレの前を通りすぎて走り去った。
古いクルマなので排ガスの匂いがすこしきつかった。

そのクルマを見送るこれまた白髪の奥様。おばあちゃんだな。
結構な雨の中。傘もささず。
うわ、ずぶぬれになるぞとこっちが心配になるほどだったが、
じっとクルマの行く方向を見つめていた。
クルマはゆっくりと１００ｍほど走って左折した。
クルマが見えなくなって、やっとおばあちゃんは家に入った。

あぁ、すげぇなって思ったよ。
きっと晴れの日も雨の日も何十年も同じ見送りをしてるんだろうなって。
敷地の広い平屋のお宅とビンテージカーと仲睦まじい老夫婦。

傘を差しながらオレは小さな声で、いいなってつぶやいた。