Takekida's log

千里の道も一歩から

嗅覚戦略

2024-08-03 23:15:04 | Books


五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)の中で相対的に言うと嗅覚というのは人間の立場からすれば重要度が低いと思われがちですがそれは人間の世界だからこその話で生物によっては最も重要となる場合があることを気付かせてくれる本です。人間の嗅覚というのは視覚や聴覚があるからこそ重要度が下がりある意味、鈍くなってしまったわけですが犬など同じ哺乳類でもはるかに鋭い嗅覚を持つ生き物もいますし何より祖先のネズミなんかは匂いを嗅ぐために4つの器官を持っているというのだから驚きです。人間は匂いに関してはある意味、進んでいない生き物だと言えるのでしょう。匂いへの敏感さというのは嗅覚受容体の多さが一つの指標となりますが哺乳類でも人は400種なのに対して象は1200、犬は800程度かたやイルカは12とのことでかなりの差があるようです。ここら辺は例えば果実食になったりで視覚が重要になったりイルカであれば逆に聴覚が進化したので必要なくなったりと食と生活形態のへんかで色んな方向に代わってきているようです。人間に至っては基本的に視覚で食べ物を判断するのですが匂いも腐ったもの(カビ)とか病原菌を避けたりするために必要なものは残しているといった感じなのでしょう。 かたやサケなどの遡上は川のにおいを覚えているからというのメカニズムのようですし昆虫などの世界では嗅覚は生命線で食べ物、花の蜜など匂いに支配されていると言っても良い生態があります。そして匂いは食べ物だけでなく生殖活動にも活用されていて種族繁栄のための1手段ということは出来そうです。 また近年、植物もSOSのにおいを発することがわかっており逆にそれを狙う受益者もいるようです。(芝が芋虫に攻撃された匂いが蜜蜂を引き寄せて攻撃させる)
 人間も匂いの分野は強くないものの相対的に匂いに優位な人が担当する仕事が生まれていますし、犬や昆虫など優れた嗅覚能力をうまく活用している面もあります。最近では病気の匂いをかぎ分けるといった活用もあるようです。また人間自体も香りを誘うのにうまく利用している節はあります。特に食べ物の匂いは効果的。ただ現時点で人間に対してフェロモンとしての明確な効果が示されたものは無さそう。ですが匂いは言葉よりも間接的に見えながら直接刺さってくるものでもあるのでまだまだ活用法という観点では発展する分野なのだと思われます。人間でいうと匂いと記憶の連携というのは確実にあって一緒に脳にしまわれているというのを実感することが時々あります。ここら辺、においで感じる記憶が新たな市場を作るかもしれません。
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