ひらつかウオーキング協会

□ウォーキングの一言(2016年4月)

□ウォーキングの一言(2016年4月)

 今回は、ウォーキングを行うにあたって、どのくらいの速さで、かつ、どのくらいの時間を歩くとよいかを改めて考えてみました。

 「未病を治す」という観点から、最近TVなどで「一日10000歩は多すぎる」と言う論調が目立ってきました。確かにその説明を聞くと成程というところもあります。但し、万遍と歩くのではなく、ややきつい状態で歩くことが味噌なんですが。また、病気予防に対して、病気の種類によってその歩数が違っており、それをオーバーした場合の効能に関しては触れてはいませんでした。

 また、歩く時間に関しては、目覚めた直ぐの早朝より、体の体温が一番高くなる夕方がお勧めらしいです。目覚めてすぐの場合、血液が濃くなっており、血栓ができやすい状態になっているため、注意が必要とのことです。



 そこで二つの観点から、「どのくらいの速さでどのくらいの時間を歩けば効率的なのか」を調べてみることにしました。

 皆さんも是非参考にしていただき、有意義なウォーキングを楽しんで頂きたいと思います。



 初めに「フィットネス ビギナーズ ノート」から紹介したいと思います。

 このノートは、ウォーキングの基礎知識としてご理解いただければと思います。

●服装

 もちろん運動しやすい服装がおすすめです。トレーニングウェアー等を着用すると、いかにも運動をするという気持ちになります。また、汗を拭くためのタオルは忘れずに準備しましょう。ジーパンなどはあまりよくありません。汗をかいた場合、関節の動きを妨げる恐れがあります。

 シューズはできるならばウォーキングシューズが良いと思います。夏場に限らず、強い日差しを避けるためには、帽子も必需品です。

●ウォーミングアップ

 ウォーキングを行う前には、軽く歩いて体を温めてからストレッチを行いましょう。ストレッチで、筋肉を伸ばし、血行を良くすることで怪我の防止になります。

 但し、いきなりストレッチを行うことは、筋や腱などを痛めてしまう恐れもあります。

(私どものイベントにおいては、出発前にストレッチを行っていますが、痛みを感じるほど筋や腱を延ばすのではなく、気持ちの良いところでストップするのが肝心です。)

●水分補給

 前々から水分補給の大切さを記載していますが、ウォーキングの前に必ず水分補給を行いましょう。たくさんの水分を補給する必要はありませんが、100~150cc位は補給する必要があります。また、ウォーキング中にも水分補給が必要ですので、水筒等を持ち歩き、こまめに水分補給をすることをお勧めします。

( スポーツドリンクを活用する場合、市販のものは、糖分、塩分共に多めですので、水で半分くらいに薄めて持ち歩きましょう。)

 喉が渇いたと感じる時点においては、すでに水分不足となっていますので、注意が必要です。

●歩数計

 歩数計は、必需品ではありませんが、どの位歩いたか、消費カロリーはどのくらいなのか等を知るには手ごろな機器です。また、歩数などを記録することは、ウォーキングのモチベーションを維持する上においても、有効なのではないでしょうか。

●強度

 ウォーキングをしながらおしゃべりができる程度の運動強度が必要ですが、汗もうっすらかく位の強度で歩きましょう。

 当然強度は低ければ、おしゃべりができますので、おしゃべりができなくなるちょっと手前が、ベストな強度と言えます。

 この状態で、分速100メートルくらいに達すると運動効果も上がってくると思います。

●歩き方

 歩幅は通常歩く場合より少し広めで、かつ、少し速足で歩きましょう。少し広めの歩幅と書きましたが、身長の半分程度かやや広めが良いかと思います。

●時間・頻度

 多く歩く方でも週に4、5日として、休養日を設けましょう。逆に、忙しい方でしたら、週に一日でもよいので、効率的なウォーキングを行いましょう。

 一回のウォーキング時間は、20分~30分以上を心がけましょう。有酸素運動は、20分以上から効率よく脂質をエネルギーとして消費することが知られています。

●時間帯

 食後2時間から3時間後位が良いといわれています。

 空腹時は、血糖値が下がっているため、めまいなどを起こしやすい状態となります。

 運動することによって、筋肉に大量の血液を送る必要がありますが、食後すぐの場合、消化器系の臓器に血液が流れにくくなり、食べ物が消化されにくくなります。

 また、夏場などの暑い時期は、日中の陽ざしの強い時間帯避けてウォーキングを行いましょう。

●コース

 極力信号機が少なく、交通量も少ない安全なコースでウォーキングを行いましょう。マンネリ化を防ぐためには、時々コースを変えるとともに、景色の良いところ、興味のあるところを選ぶとよいと思います。

 また、ウォーキングに慣れないうちは、平坦なコースをチョイスし、慣れてきたら、筋力強化のためにも多少のアップダウンのあるコールを選ぶとよいと思います。

●クーリングダウン

 ウォーキングの最後は、少しづつスピードを落とし、ゆっくり歩きに変えてゆきましょう。その後ストレッチを行い、筋肉をもみほぐして、柔らかくするとともに、下半身にたまっている血液を心臓に戻すような、マッサージを行うとよいと思います。

 クーリングダウンは、疲れを翌日の残さないため、かつ、筋肉痛(筋肉疲労)を和らげる効果があります。



 以上がウォーキングの基礎知識ですが、服装一つとっても、夏の服装と、冬の服装では異なってくることはお分かりと思います。また、補足説明を()内に記載していますので、参考にしていただけたらと思います。



 「糖尿病ネットワーク」にも運動強度がどの位が効率的かが記載されていますので紹介したいと思います。

 糖尿病の基本治療として、食事療法とともに、運動療法は、車の両輪にたとえられるほど重要視されています。ヘモグラミンA1cが高くなり、医者にかかった経験のある方は、身に覚えがあると思いますが、「どれくらいの強度の運動をどのくらい行えば効率的なのか」を疑問に持つ人が多くいます。そのための指針として、以下に記載する情報がホームページに公開されています。当然のことながら予防にも効果的ですので記載してみたいと思います。

●どうして運動が必要なのか

 日本人における糖尿病患者の90%は、2型糖尿病といわれ、遺伝的な要因に加えて、食べ過ぎや運動不足等の悪い生活習慣の積み重ねにが主な原因となっています。このため意識して体を動かすことが大切となり、食後に運動を行うことにより、次のような効果が期待でします。



運動の急性効果

 運動は、血液中のぶどう糖をエネルギーとして消費し、血糖値を下げる効果があります。特に、速食後の運動は、食事による急激な血糖値の上昇を抑え、また、速やかな低下につながるため、より効果的と言えます。

 (先に、運動(ウォーキング)は、食後直ぐにはやめた方が良い旨の記載をしています。したがって、糖尿病の治療として食後すぐに運動を行う場合、食事の量を含めて、運動療法の処方箋を医者に出してもらう必要があり、この処方箋に従った運動が必要となります)



運動の慢性効果(トレーニング効果)

 数ヶ月間トレーニングを続けていると、運動を継続することにより、筋力が付き、基礎代謝が高まるとともに、インスリンの効きが良くなるため、血糖が上がりにくく、血糖コントロールの改善に役立ちます。



その他の効果

 私どもの場合、糖尿病の治療というより、以下の運動効果を期待したウォーキングということになり、結果としてQOL(生活の質)が向上してきます。

 ・エネルギー消費量がアップし、減量効果が得られる。

 ・高血圧や心身代謝異常が改善する。

 ・体力がアップする

 ・心肺機能が向上する

 ・ストレスや睡眠不足の解消



●運動療法を始める前に注意したいこと

 運動療法は、糖尿病の改善に重要な役割を果たす治療法ですが、正しく行わないと十分な効果を得ることができないだけでなく、糖尿病の症状の悪化、合併症を誘発、悪化させる場合があります。したがって、先にも書きましたが、運動を開始するにあたっては、事前にお医者さんに相談し、指導を受ける(運動処方箋をもらう)必要があります。医師は、メディカルチェックによって、運動の質、量などを判断し、注意する点などを明らかにしてくれます。特に次のような症状のある方は、運動禁止や、制限がありますので、必ずお医者さんに相談してから運動を行うようにしましょう。

 ・進行した目の合併症がある場合

 ・腎機能が低下している人

 ・神経の合併症や、手や足に痛み、しびれのあるひと

 ・血糖値が著しく高く、血糖コントロールが極端に悪い人

 ・足の病気(潰瘍や壊疽)がある人

 ・狭心症や心筋梗塞などの心臓病がある人

 ・著しく血圧の高い人

 ・膝や腰などの関節に痛みのあるひと

 ・インフルエンザや肺炎などの病気にかかっている人

 いずれにしても何かしらの病気のある方は、お医者様との相談を行い、運動療法(ウォーキング)を行う必要があります。



●運動の種類と強度

 運動には、有酸素運動と、レジスタンス運動(筋力トレーニング)がありますが、この二つを組み合わせることがより有効な運動となりますが、今回は、ウォーキングに主眼を置いて記載します。

 ・週に3日以上/合計150分以上を行う。また、なるべく3日以上明けないようにする。

 ・1回10分から30分程度とする。体力のある方でも、1回の運動時間は60分程度を限度とする。1日の運動量としては、歩数で約10000歩、消費エネルギーとしては、160から240Kcal程度が妥当。

 それでは、ウォーキングにより200Kcalを消費するためには、どのくらいの時間が適しているかといえば、以下のようになります。

 ・普通歩行(平地、67m/分)約32分

 ・速歩(平地、95~100m/分)約24分

 ・かなりの速歩(平地、107m/分)約19分

ということになります。また、運動の強さはどれくらいがいいかといえば、個人差により大きく異なってきますので、自分に合った強さを理解することが大切なります。

 すなわち、運動強度が弱すぎると運動効果は上がらず、逆に運動強度が強すぎると心臓に大きな負担がかかり、危険を伴ってきます。

 特に、レジスタンス運動を行う場合、息を止めて強い負荷を与えると、急激に血圧上昇が起こりますので、息を止めずに行うようにしましょう。

 それでは自分に合った運動強度をどの様にして理解するかというと、大まかな目安としては、心拍数を図ることにより把握することができます。

 ・59歳以下 120泊/分

 ・60歳以上 100泊/分

 

☆目標心拍数について

 前にもこの欄で記載していますが、カルボーネン法による目標心拍数(運動強度)の把握があります。

 目標心拍数=(220-年齢-安静時心拍数)*目標運動強度(%)+安静時心拍数

で求めることができます。この場合、目標運動強度は、0.4~0.7が妥当な値となります。

 安静時心拍数が60であり、年齢65歳の方を例にして計算すると次のようになります。

 目標心拍数=(220-65-60)0.4~0.7+60=98~127

 したがって、あまり運動していない方の場合は1分間の脈拍数が100位であり、常に運動を行っている方の場合は、130以下位ということになります。

 安静時心拍数が分からない場合、勘弁式として、安静時心拍数を0として計算し、その時の目標運動強度は、0.6~0.75位で計算するとよいと思います。一度、ご自分の運動強度を計算し、把握しておくとよいと思います。

 

●運動を行うときの注意

 運動は、食後20分から2時間にかけて行うと、食後の高血糖を防止することになり効果的ですが、難しい場合には自分のライフスタイルに合わせて行うとよいと思います。

 a けがや事故防止のため、運動の前後には、ストレッチを行いましょう。

 b 運動前や運動中、運動後には、十分な水分補給を行いましょう。

 c 運動による低血糖の防止対策として、飴等を持ち歩きましょう。

 d 運動に適した服装、靴を用意しましょう。

 e 以下の場合は運動をしないようにしましょう。

   ・天候が悪い時や、暑さ、寒さが厳しい時

   ・体調が悪い時

   ・血圧が普段よりも高い時

   ・脈が途切れたり不整脈があるとき

   ・筋肉痛や、膝、腰等の関節に痛みや違和感があるとき

   ・血糖コントロールが悪い時

 f 次の時間帯はなるべく運動は避けまょう。

   ・空腹時

   ・早朝(起きぬけ) 朝食前

   ・深夜

   ・極端に気温の高い時間帯、低い時間帯



 「フィットネス ビギナーズ ノート」および糖尿病における運動療法の面から記載してみましたが、皆さんのウォーキングは、安全に行なっているのでしょうか。私なりにイベントに合わせてまとめてみると、次のようになるかと思います。

 ・朝食は必ず取りましょう。

 ・体調が少しでも悪い時は、ウォーキングはやめましょう。

 ・運動しやすい服装で参加し、帽子は必ずかぶるようにしましょう。

 ・集合場所には、少し早く着き、ストレッチを開始する前に周囲を散歩し、体を温めましょう。

 ・出発前に水分補給をしましょう。

 ・ウォーキングを開始したら、運動強度に注意しましょう。

  団体歩行の場合、列の先頭と最後では、運動強度が異なってきますので、自分にあった場所でのウォークをしましょう。少しきつめで歩けて、かつ、話ができるくらいを目安にしましょう。

 ・ウォーキング中も15分から20分くらいを目安の水分補給を行いましょう。

 ・昼食後20分位はゆったりしましょう。

 ・再出発の前に軽くストレッチをしましょう。

 ・ゴール到着時は、簡単でよいのでクールダウンストレッチを行いましょう。

 如何でしょうか。

 今回は、ウォークの姿勢については記載していませんが、悪い姿勢でウォーキングを続けると体幹が曲がってきますので、合わせて注意し、楽しく、効果的なウォーキングを行いましょう。
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