
最近本を読んだりいろんな人と
話をしたりして思うのは どうして日本の
ちょっとしたコミュニティスペースとかって
とりあえず長机にパイプ椅子と それから
紙コップをおいてカフェみたいにしてみました って
そんなところが多いんだろう?と それは
私にとっては昔から不思議だったのだけど
それでいい って思っている人が沢山いるから
多分そうなってしまうわけ で
だけど最近私が話をする人たちは
「そんなんじゃダメですよね?!」と言ってたりして
そうそう やっぱりそう思います?あれ やっぱり
いけてないですよね!と 私も加勢したくなる。
でもどうしてあんなになるんだろう?
だってそれでいいと思う人がいるから それが通るわけでしょう。
どうして日本の郊外の国道沿いは どこも似たり寄ったりで
そこを走ってるだけじゃもう 何県にいるのか全くわからない
そんなことをしてしまうんだろう 昨日は渋谷の夜をみたけど
街の景色なんてぐちゃぐちゃだ。あれを芸術、ととらえられる人も
いるだろうけど なんだかなー なんだかどうなのかなあと思う。
さて、なーんでフランスはあんなに綺麗なのかなあと
思っていたら 田舎道を走ってたって ものすごい
きれいな街路樹があったりしてハッとさせられることの方が
多くて もちろん郊外のスーパーはあれど 日本の国道沿いみたいに
やたらでかい色とりどりの店が乱立していることはない。
セーヌ川沿いの夜景なんて 本当にこれが都市として
機能している街なのか!と疑いたくなってしまうくらい
びっくりするほどロマンチックなわけだけど
それって所与のものじゃなかった。
そういうことに驚いた。これらはみんな フランスの
厳しい文化政策と規制の上で成り立っていて とくに
フランスは広告にめちゃくちゃ規制がかかるらしい。
都市部でも規制の強い広告は 田舎ではもっと強くて
田舎はホテルの看板くらいは出せても 広告というのは
ほとんど道に出したらいけないらしい。それってすごいことだよね。
(ちなみにそんな規制の強い広告を逆手にとって?パリの
貸し自転車ヴェリブは広告会社がパネル広告を設置するかわりに
なんと初期投資から全額負担して、パリ市はお金を負担せずに
貸し自転車制度を作ってしまったらしい!すごい話です)
そして歴史的建造物の周囲500メートルは、何を建てるにも
改装するにも、かなりの規制がかかるらしくて
そんなモニュメントのまわりだなんて それでも
カフェはいっぱいあるけど 不思議なことに
フランスは規制が強い区域の中に 沢山のカフェが
存在していて その規制の中でなんとか営業しているわけだ。
でもカフェは許される国なんだ それが私にはなんだか不思議。
そうだったんだ あの統一感のとれた町並みは
なんとなくできちゃうものじゃなくって 規制の上に
強い規制をかけて 看板の文字はこれならOK ネオンは
だめだけどこういうライトにするならOK 歴史的な
ファサードはちゃんと残して活かしなさいとか
そういう規制があってはじめて あんな風に残される。
それでそんな街で育った人は やっぱり誇りを持つんだろうか
そんな街で育った人は 空間のセンスを当たり前に身につけて
いくんだろうか。それとも美的教育とががあるのだろうか
パリのアパルトマンを眺めてみると ほとんどどこの家でも
ぼんやりとした間接照明をつかってて 蛍光灯を使ってる家は
本当にごくわずか で 一度蛍光灯の家をみかけたときに
わーなんだかあそこだけ日本みたい と思ったことがある。
(それからセーヌ川沿いの橋の下に一カ所蛍光灯が使われている
ところがあって なんだかそこだけとても違和感を感じてしまった)
和田幸信さんの『フランスの景観を読む』のあとがきはとても
興味深い。「フランスで特徴的なのは、パリを中心として歴代の
国王により美観整備が行われてきたことである。国王がみずからの
威光を示す壮大な宮殿や街路をつくったことにより、市民も
都市における美観の価値を認識した。やがて近代になり、市民が
主役となって都市計画を行うときにも、美観や都市景観が中心になった。
いわば、すぐれた都市景観が教育的役割を果たしたことになる。
これはまた、逆もまた真なりに思える。日本の視覚公害といわれるような
乱雑な駅前商店街、あるいは広告や看板で店舗が隠されるようなバイパス
沿いを見て育つと、これが都市の景観であると思いこむことになるだろう。」
『フランスの景観を読む』p.266
これは恐ろしいことですね。
あまりにも違う歴史や背景を背負っている日本とフランスなわけだけど
せっかく世界に誇る美しいものが溢れた国なのだから
もう少し 公的な場が 誰もが目にする場所や空間が
もっと素敵で 心地よい場に なったらいいなと思うのだけれど
私もいつか?いつの日か そういうところにカフェ的な
エッセンスを加えたりして 貢献できたらいいのかな