伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

愛媛県知事の発言-2.地元説明会から昨年11月の申請決定まで

2005-11-22 22:25:04 | 関係資料
 愛媛県知事による月一回の定例記者会見の記録から、質疑を一部抜粋して、この間の動きを紹介してみたいと思います。
 論旨を明確にするための抜粋ですので前後の切り落とし箇所でニュアンスが異なる危険性があるということを認識して、元の文章も含めてお読みください。


●平成16年度9月知事定例記者会見の要旨について

「Q:四国電力は9月4日に地元での説明会を開催。結果をどのように受け止め、今後どのように対応していくのか」

 「公開の場で直接住民に説明がなされますとともに、質疑の機会が設けられたものでありまして、住民の疑問や不安の解消に一定の意義があったものと評価」「国及び四国電力には、今後とも様々な方法で住民への説明等に取り組んでほしい」「今後の地元の動向や県議会の議論等の状況を踏まえて判断」

「Q:10月中には判断できそうか。

 「特段の新しい材料とか、あるいは今度の関電のような形で、四国電力にこんな問題があるとかいう突然の事情が出たい(り)しない限りにおいては、議会終了遠からずの時点で、県としての意向をお示しすることになる」

「Q:今の知事の微妙な発言は、余程大きな環境の変化がない限り、県として炉の設置変更を認める方向にあるという考えを示したと受け止めていいのか。

 「申請自体を認めないというような材料は今までのところは、大きなものとしてはないのかなという認識」

「Q:反対している人が署名集めをしていて、今日も提出しているが、その点について、どう思うか。」

 「伊方原子力発電自体を認めない視点から…反対なのか、原子力発電は…止むを得ないものとして、プルサーマル計画に関しては、新たな特段の状況によって反対するという内容なのか、その辺を見てみなきゃなりません。」「地元での署名数がどの程度なのか、松山で数字がたくさん集まったからといって、そのことが地元の理解との相関関係には繋がらないんだろうな」
 コメント:行政の継続性という観点からか硬直的に、従来からの反対派は無視しようとする姿勢です。 またこの加戸知事は元々文部省の課長時代に、市民運動家からつるし上げを食らったという記憶があるので、と市民運動をしている人たちとは会わない、という趣旨の発言をインタビューの中でしたことで知られています。人と会うのがいやなら知事なんてやらなきゃよいのに。

「Q:昨日、四国電力の社長が知事のところに来ていたが」

 「当然、併せて前回の説明会での、その空気の受止め方等々についてのお話もありました。」「やや困惑気味だったのは、…福島、新潟、福井と、ちょっと様々な要因で足踏み状態になっていて、他の先発グループより一周遅れでスタートしようかと思ってたら、…途中足踏みのところがだいぶ出てますのでねえ、なんてなことは雑談調ではおっしゃってましたけど。」
 コメント:電力会社の方もおっかなびっくりだという認識です。どうしてやらなきゃいけないのかもさりながら、どうして嫌がっているのかを追及はしないのでしょうか。


●平成16年度10月知事定例記者会見の要旨について

「Q:今後、県として、どのように対応していくのか。」

 「県政最大与党の方からは、…判断の時期にきている」「町としては、原子炉設置変更許可申請について了解することとした旨の御報告をいただいた」「判断をし、週明けにも四国電力に通知したいと考えております。ただし、あくまでも申請に関しての判断でございまして、事前了解願いに対する最終的な判断については、国の安全審査が終了した後、改めて伊方原発環境安全管理委員会等を開催し、伊方3号機に関する個別具体的な安全評価結果等について検討するなど、安全確保を第一に慎重に対応して参りたい」
「 ちなみに、東京電力、関西電力等は、もう既に原子炉設置変更許可は下りておりますし、それから、九州電力の方も5月ですかね、原子炉設置変更申請が行われていますから、そういう意味では、申請をすることについては4番手、四国電力が4番手になるかどうかという、今の問題であります。」
 コメント:形の上ではそうでも、東電関電はそもそも地元との信頼関係を失っていますから、一旦取り下げてもらったという認識を各県ではしているようです。

「Q:県として、国が安全というお墨付きを与えた場合に、果たしてそれに異議を唱えることができるのかどうかということに疑問があるが、その辺で国の方針どおりに県も進んでしまわないか」

 「パスしたことが妥当であるかどうかという判断は、県独自としては、理論的にはあり得るとは思います。…再度、伊方原発環境安全環境委員会での御議論も頂戴したい」「県議会での御議論もあるでしょうし、…改めてまた、その段階で伊方町としての御意見も伺う」

「Q:その前の段階で、一部の市民団体や住民団体から、県としてもそういう判断に対する住民説明会なりの開催の必要性があるのではないかという声も上がっているが、それについてどう考えているのか。

 「事柄は、四国電力が事業主体としてなさることでありますから、様々な形で住民へのPR、説明、理解を求める努力というのは、今後とも続けていただきたいと思っておりまして、県が事業主体でないのに、いやこれは安全である、ここが問題であるという説明をすることは、僭越なことだろうと思います。」

「Q:今回、安全性と必要性について、ある程度のプルサーマルに対する県の判断が出ると思っている。そういうことが今回判断されれば、特段の理由がなければ、最終的な事前了解願いも了解という流れになるのではないか。」

 「いえ、…裁判で言えば、訴状を渡して、受理するか、受理しても審理を始めるか、却下するかがあって、却下しないで審理を始めて、それを認めるか棄却するかというプロセスがありますよね」「個別具体的な話についての安全審査が国の方で当然あるでしょうから、それを踏まえた上で、じゃあ各論化された段階での地元の意向、あるいは県としての安全性の確認とか、いうことの手続きが当然必要になるということを今申し上げている」

「Q:伊方町長も、末端の自治体が安全審査に合格した場合に、とやかく言う立場でないとの発言をしているが、まさに当該自治体の首長が、自分の町に原発を誘致される話に対して、末端の自治体がという発言もどうかという感じがするが、どう思うか。

 「伊方町としての専門的な判断能力を備えていないが故に、国の安全審査ということを信頼した上での御発言ではないのかなと、私は想像しております。」
 コメント:東電のトラブル隠し(原発推進者の会G研より) や関電の事故(原発推進者の会G研より) では国は安全審査をしていなかったのでしょうか?
 全くの見落とし(関電)や故意のごまかし(東電、関電)を発見できるほど、検査機関としての国が有能であると盲信するのは実績に反しています。伊方町長の姿勢について聞かれて盲信と指摘せず、態度の理由を想像しているだけですから、知事自身も健全な懐疑という姿勢を取っていないわけで伊方町長と同類です。

「Q:知事として、…国とか、電力会社に対し、安全性について、こういったことを具体的に求めたいということはあるのか。

 「全ての最新のを含めて、いわゆる原子力問題に関する知見の全てをベースとしての、まさに専門的な見地からの日本の最高権威の方々を含む審査があるものと思っております」「また別に、今、福島とか、新潟とか、福井とか、データの捏造とか、あるいは隠匿とか、あるいは事故とか、様々なアウターファクターによって事柄が凍結されたり、延びたりという状況は、外部要因としては、それは四国電力に絶対ないとは言えないでしょうが、」
 コメント:各地で事柄をおこした各社は、原発の運転を行う運転資格を剥奪されても不思議ではないのにそうはならないのはなぜでしょう。すでに原発を運転して(電力の安定供給とやらに貢献して)いるから危険な運転をしていても止めなくて良い/止めさせられないのだ、という既得権を生じさせているのが政治の現実なのであれば、これこそ深刻な事態でして一刻も早く脱原発をすべきという根拠となります。

「Q:今、国の安全審査を越えて県が独自に判断をするノウハウを持ってないという趣旨の発言をされた。結局それでは、国の意向が出れば、そのままになるということではないのか。」

 「東電、関電のような体質がひょっとしたらあり得ない訳じゃないだろうというようなケースも、そりゃ想定されるでしょうし、」「特に地元住民等の不安感というのは、これは不安感を除去するのは、やはり専門的な事柄を、庶民に分りやすく説明していただくということが大切…四国電力側の努力も要請したい」
 コメント:誠意とテクニックをもって説明を尽くせば不安感を除去できるというのであれば、ちゃんと従来のウラン燃料とMOX燃料で比較した、原発事故の際の人的・経済的被害想定も公開させてはどうですか。いかに確率が少ないものであろうとも相対比較による客観的な被害評価はできないはずがないし被害想定をしていないとすれば安全と言える根拠もないはずです。


「Q:県議会の意向は、どういうものだと知事は感じているのか。」

 「従来の燃料棒は仕方ないとしても、プルサーマルに関しては、危険性が高いという様々な御指摘等があったことは事実」「程度の問題。じゃどこからどこまでが許容範囲で、どこからどこまでは許容範囲ではないかというのは、これはやはり、原子力専門家による御判断に待たなきゃならん事柄でもある。」「県議会の御議論等を受けて、はいそうですかと言って、右、左という答えを出せる事柄ではないのかなと、そんな受け止め方をしております。」
 コメント:県民が受ける被害の許容範囲を原子力専門家とやらにに丸投げしようとは、知事もええ度胸であります。PA(パブリック・アクセプタンス)のパブリックとは専門家のことでしたか。

「Q:先程、福井とか、新潟とかの凍結や足踏みになっているところの話があったが、愛媛の場合でも、そういう外的要因があれば、県の了承についても、撤回とか、そういうことも十分あり得るのか。」

 「原子炉設置変更許可申請に関して、その了解とか、了承をですね、撤回とか、取り消すという話ではないだろうと思いますね。問題は、まさにプルサーマル計画を実施するかどうかの事前了解を与えるかどうかが次のステップとしてあるでしょうから、それを与えた後であっても、福島のようなケース等で凍結というなことはあり得る話だろうと思います。」
 コメント:四国電力さんも最近は、プルサーマルをやりたくないのか、外的要因を少しずつリークしている?かのようなひび割れ等の報告もチラホラあります。


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