伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

県の防災計画のパブコメ募集に応じてコメントを送りました

2014-03-09 08:51:36 | 原子力防災と住民の対応

 全文を以下に。

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愛媛県 県民環境部 防災局 原子力安全対策課 御中

住所 
氏名 
電話番号 

 パブコメを提出します。
以下、それぞれの論点が、原案のどこに対応するか、確認しないままパブコメを出すぶしつけをお許しください。


・東電福島原発事故の原因究明がなされていない。工学的な問題についてではなく、なぜ避難をさせることに失敗したか、の原因究明である。このこと抜きに原子力防災計画はありえない。

・PHP新書831「原発難民」烏賀陽弘道著 によると、福島の失敗のレベルはマニュアルに書いてあることも守れないで、防災に失敗したというレベルだったという。特に、元四電社員であり、JNESの前身に出向してERSSの開発に携わった松野元氏のいう、日本には深層防護が3層しかなかった(4層目も、長期間に渡る全交流電源喪失は考慮する必要がないとされていた、ということでなかった)原子力防災も紙の上だけにしかなかった、という「原子力防災」を、今回再び紙の上に再構築しつつあるのではないか、と懸念する。

・IAEAの提唱する「5層の深層防護」の最後の砦が、原子力防災の役割である。前段階の4つの防護層が機能を果たせなかった時にも、機能を果たすことが求められる、言わば、安全性の最後の砦である、という位置づけを計画の中で明確にするべき。

・従って安倍首相が言う「世界最高水準の安全性」の要因であるこの原子力防災の防護層については、原子力規制委員会が責任を負おうとしない以上、自治体が徹底的なレビューを行い、(さまざまな不利な国内要因にも関わらず)世界最高水準であることをデモンストレーションする責任を負っている。
 明示された、透明性の高いレビュープロセスを構築する必要がある。
 それができない場合は、安全性を確保することができない以上、伊方原発の再稼働はあり得ない、と宣言することで、必要な人的などの各種資源を国や電力会社などからかき集めるべきである。

・松野氏の元同僚であった永嶋氏が開発に携わったPBS(プラントデータ挙動解析システム)がオフサイトセンターに設置されているなら、県の防災担当の課が、それを自由に使って、避難計画をバージョンアップさせるために活用するべきである。

・現在、オフサイトセンターに、そのPBSがないのであれば、そのような重要なソフトウェアが失われたことは、問題の原因の一部であるとみなして、原子力防災の将来に同様なことが起こらないよう徹底的に原因究明をするべきである。

・過酷事故が起こる想定だと、建設当時の立地審査指針に基づいて、敷地境界の汚染レベルを満たすことができないという。
(参考:東京新聞13年7月9日記事「削られた立地評価 原子炉規制法抵触の怖れ」
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/8c/addc1868f353768588889954d7a1ba98.png
 )

原子力規制委員会は立地審査指針を満足しないことにどう理屈を付けているかはイザ知らず、愛媛県の原子力防災編の中で、立地審査指針を守れない施設を動かしてよいかどうか、どうこの問題を受け止めるのかを議論し問題点を整理しないまま、避難計画を作ることは大問題。

・新潟県泉田知事が現在主張しているように、フィルター付きベント設備を動かすことができないならば、その設備は動かせないという判断を取るべき。

・そしてまた、避難にかかる時間は、被ばくを避けられないほど長時間に渡ることが現状では明らかである(参考:「伊方原発30キロ圏の避難に要する時間は9~18時間」
http://blog.goo.ne.jp/ikatanoplu/e/51fd852501cba2c6848446b6dd595fc2  )
ため、むしろ、積極的に屋内避難を行えるよう、フィルター設備付きの施設を最低限、近隣30km圏内に設置するべきである。

・そして、避難シェルター化することで、すぐに避難できない、という問題の対応策とするべきである。

(上記の論点は、2月定例県議会の中でも、「原発さよなら四国ネット ワーク」からの請願書として提出している内容であり、末尾に添付するので参考にしていただきたい。)

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平成26年3月5日

愛媛県議会 議長
竹田祥一 殿

「停止時の伊方原発過酷事故に備え、近隣施設の避難シェルター化を求める」請願

原発さよなら四国ネットワーク
(連絡先)## #

紹介議員



【請願の要旨】

 第335回臨時議会において可決された平成25年度2月補正予算において、原子
力発電関連の防災事業として、換気用フィルター設置の予算2億円、(前年度は
18億円、計7施設)が計上されました。

 今、伊方原発は3機とも停止中ですが、この保管中の燃料が冷却水喪失や電源
喪失により過酷事故を起こす可能性も指摘されています。この場合にはどのよう
なシナリオで何時間で避難を完了する必要があるかが明確にされていません。今
あるリスクに対応する余裕時間を明らかにしてください。

 担当課の説明は、避難して人が居なくなっていることが大前提で、逃げ遅れた
少数の人向けに屋内退避出来るようにする施設なので、今後の追加設置予定はな
い、としていますが、原子力防災の避難の態勢は現状では不十分ですし、民間の
研究者によれば複合災害時の伊方原発での避難には9~18時間掛かるとの試算
もあり、避難途中で不要な被曝を受ける二次被害が想定されます。風向きに応じ
て避難か待機かの選択をできるよう、施設自体が近隣住民も対象とする避難シェ
ルターとしての機能を備えているべきです。

 フクシマ事故のおりに双葉病院では、5次に渡って4日間を掛けて患者を救出
する事態が起こりました。避難に逃げ遅れた人用を想定するのであれば、設置済
み(予定)の7カ所の施設のみではなく、30km圏内の651施設についてこそ、こ
の換気用フィルター設備を完成させる必要があります。

【請願事項】

1.オフサイトセンターにあるはずのプラント事故挙動データシステム(PBS)で
は避難の余裕時間が試算できるはずなので開示させてください。

2.最優先で651施設の追加の避難所換気用フィルター設置事業を行ってくだ
さい。

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PBSについては、JBPressの記事、
参考:
福島第一原発事故を予見していた電力会社技術者
無視され、死蔵された「原子力防災」の知見2012.05.31(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35339

使われなかったバックアップシステム「PBS」
「SPEEDI」不作動でも避難誘導はできた2012.06.14(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35444

「壊れない」ことにされていた原発の格納容器
このまま事故調査報告が出たら世界の笑いものに2012.06.28(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35542

こうして住民避難はどんどん後回しにされた
官房副長官に聞く官邸の原発危機対応(その1)2012.08.28(火)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35976

「意思決定の判断材料は与えられていなかった」
官房副長官に聞く官邸の原発危機対応(その2)2012.09.06(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36042

一蓮托生の関係だった東電と保安院
官房副長官に聞く官邸の原発危機対応(その3)2012.09.07(金)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36043

失敗した住民避難の真相、
ここまで分かったことと分からないままのこと
2012.09.20(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36140

巨額の予算が水泡に帰した事故対策システム
原子力防災技術者が語る福島原発事故の深層(その1)2012.10.04(木
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36232

備えも訓練も吹き飛ばした判断ミス
原子力防災技術者が語る福島原発事故の深層(その2)2012.10.18(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36338

緊急時対応の能力がなかった政府と東電の罪
原子力防災技術者が語る福島原発事故の深層(その3)2012.11.01(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36449

「仏壇」と同じだった原発事故対策システム
専門家不在の調査委員会が覆い隠していること 2012.11.29(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36651

を参照のこと。 


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