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アッラアアア

宝島 10

2019-03-13 | 宝島 ワンダーランド
昼の蒸し暑さを忘れたように、外は暗くひんやりと気温が下がっていた。
下り坂の向こうには、静まり返った古い民家がいくつか見え、地平線の上に浮かぶ月が海を照らしているのが見えた。

相田は深呼吸をした。大きく息を吸って、もう息が吸えないというところでゆっくりと息を吐いていく。

そうする事で次期に落ち着く。相田はそんな事を生得的に学んでいた。

ひとしきり落ち着いた後、そろそろ戻ろうかとしていた時、
やあ、と背後の茂みから若い男の声がした。

相田は突然の声かけに動揺した。

もしや、自分達を殺しにきた、例の二人組がやってきたのかしら?
そんな事が頭に浮かんだ。しかしトランの予知は明日のはず。また、その声に相田に対する殺気はなく、それはただの穏やかな掛け声に過ぎなかった。

誰?相田が振り返ると、そこには1人の青年が立っていた。

その青年の足はスラリと長く伸びていて、整った目鼻立ちと、暗闇の中に白金のように光る髪が印象的だった。

相田さやかさんだよね?
はじめまして。僕の名前はジェット 。

ドラフ・K・ジェット。

男はそう続けた。

大変だよね。こんなよくわからない島に連れ去られて、命からがら生き延びてさ。
この島は変な島だからね。変な事もよく起こるし。

この人、私のことを知ってる?相田は思考をめぐらした。
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