宝島 5

相田はおばあさんの好意で、しばらくの間おばあさんの家に泊めてもらえることとなった。
おばあさんの話によると、この島は昔は漁業が盛んだったが、若い人が都会に出ていって、今はもうほとんど人がいないそうだ。

家は相田が倒れた場所からすぐ近くの場所にあったが、他の家からは少しだけ孤立していた。

おばあさんの家には、相田を助けてくれた名前はトランという少年と、そのお父さん(漁師をしているらしい)とが住んでいた。トランのお母さんについては、うまく聞くことができなかった。

突然の来訪者に、家は活気づいたそうで、特にトランは相田と遊ぶのを楽しみにしていた。

トランは普段瞼を閉じている。


後でトランが瞼を開いたところを見たところ、やはり目がなかった。
おばあさんになぜトランには目がないのかと聞くと、トランの目は元々無いから、なぜ無いかと聞かれてもわからないそうだ。目はないが、見るという行為自体は問題なくできる、とのこと。

トランは神のご加護を受けていて、その奇跡が不可能を可能にしているんだよ、とおばあさんは言った。

目がないのに目が見える、最初は不思議だったが、トランの無邪気さにその不思議さは消えていった。

トランは時折、島中のありとあらゆる物事を言い当てた。

明日の天気から、その日の夕食のメニュー。

相田が一番驚いたことは、トランが罠を使って猟を行うその成功率が100%であることだった。
相田は、なんでわかるの？と聞いたが、トラン曰く、近い未来、1日くらい先なら、見ることが出来るそうだ。